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アオシマ 1/700 SCALE ウォーターラインシリーズ・旧キットディテールアップ
日本海軍航空母艦 蒼龍

制作期間:2003年9月〜2007年7月(途中2年半休止のため実質1年4ヶ月)


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パースアングル:画像5枚 上面・側面など:画像4枚 細部:画像24枚 艦橋・艦載機:画像14枚


  • 中国のMin Zhuさんによるこの蒼龍を使ったPhotoshop合成写真。(ご本人のサイト「Model's Story」より転載 )
外洋航行中 二航戦 南雲機動部隊


蒼龍について
蒼龍は当初艦隊決戦を想定して15.5cm砲を前後に2基搭載した航空巡洋艦として設計されていましたが、紆余曲折の末に対空砲火と速力、搭載機数を優先した初の純正規空母として昭和12年(1937年)竣工しました。

各機関の構造や配置には鳳翔、赤城、加賀、龍驤で得たノウハウが生かされており、速力は空母中最速の34.9ノット。さらに滑走制止装置、飛行甲板埋込型起倒式クレーン、着艦指導灯、艦尾両舷張出型着艦標識、転落防止ネットといった標準的な航空艤装を最初に装備したのも蒼龍です。その完成度の高さから後に続く日本空母の雛形となりました。

その戦歴は華々しいものでした。
昭和13年(1938年)に龍驤と第2航空戦隊を編成して日中戦争に参加。翌年には竣工したばかりの飛龍が龍驤と交代で編入されて、お馴染みの姉妹艦ペアを組む事となりました。

昭和16年(1941年)になると第1〜5航戦からなる機動部隊が誕生。同年12月に日米開戦となって真珠湾攻撃に参加し、その岐路に2航戦のみでウェーク島を空襲しました。さらに昭和17年(1942年)にはアンボン島攻略作戦、ポートダーウィン空襲、セイロン沖海戦と連戦続きで、英米豪の艦船を見つけては片っ端から撃沈していきました。このとき蒼龍の江草隆繁少佐率いる艦爆隊の爆撃命中率は87%にも達していました。

最期の戦いとなったミッドウェイ海戦においては米急降下爆撃機からの命中弾3発を受けて大破炎上。半日ほどは浮いてましたが夕暮れ頃に沈没してその生涯を終えました。艦長の柳本大佐は艦と運命を共にし、この戦いにおける蒼龍の戦死者は718名でした。
キットレビュー

2007年現在WLシリーズ中リニューアルが遅れている空母キット群において、もっとも酷評を受けているのがアオシマの蒼龍です。
何がいけないかというと『この部分の考証が間違ってる』とかいうレベルではなく、パーツ全体が大味で、開発用の木型をそのままプラモデルにしたような雰囲気なのです。

ただこの蒼龍がリリースされたのは1971年。元々WLは机上を大海原に仕立てて艦隊を再現できるコレクションシリーズとして企画開発された製品なので、当時はこういう品質でも構わなかったのでしょう。1/700スケールでも細かく作り込むのが主流になった今の時代には酷なキットです。
アオシマ1/700 空母 蒼龍【amazon.co.jp】
蒼龍はアオシマが現在発売しているWLのライナップの中で最もリニューアル化が待たれるキットの一つであり、実際ここ数年その噂がささやかれるようになっています。

※追記(2009/11/06)
ついにアオシマ1/700蒼龍が完全新金型でリニューアルされました!
最新の考証が盛り込まれただけでなくアクセサリーの高角砲や艦載機まで新しく作り直されており、あのダメキットと呼ばれた蒼龍が1/700空母模型の中で最もハイディテールな製品として生まれ変わったことに感無量です。専用エッチングパーツも同時発売。
空母蒼龍 制作記

蒼龍は武勲多き人気艦なのにプラモでは不人気艦。
今のアオシマの流れでいくと、いずれリニューアルされるであろうこの昭和生まれの老キットに最後の花道を飾らせてあげるべく大手術に挑みました。蒼龍はやればできる子!

制作で使用したキットの部品は船体、飛行甲板、装備品リニューアルパーツのみで、あとはスクラッチビルド。しかもその船体と飛行甲板も芯として使った程度で、原型を留めないほどのモデファイを施しました。そこまでするくらいなら最初から高品質のピットロードのレジンキット作ればいいのにと思われるでしょうが、私としてはアオシマの蒼龍を作ることに意義があったのです。

一方どれだけ細かく作り込めるかという点においては、この作品で自分の限界を感じました。というのは制作の後半くらいから目が付いていかなくなり、ルーペなしではお手上げ状態だったのです(ついに俺にも老眼が来たか〜)。だから今後の艦船模型の制作では表現の方法に己の進化を探って行こうと思います。
■第1回 船体の改修 ■第6回 飛行甲板の塗装、安全ネット、滑走制止索
■第2回 手すりと艦首艦尾の艤装制作 ■第7回 艦載機1(零戦・99艦爆)
■第3回 飛行甲板、高角砲、機銃の改修 ■第8回 艦載機2(99艦爆・江草隆繁少佐搭乗機 / 97艦攻)
■第4回 艦橋の制作 ■第9回 船体の塗装
■第5回:煙突・無線マスト台座の制作 ■第10回 ウェザリング・艤装物取り付け
使用したディテールアップパーツ&マテリアル
この作品で実際に使われた製品の一覧です。詳細は制作記中にて説明しています。
蒼龍は専用のエッチングパーツが存在しませんので、さまざまな汎用パーツセットから使えそうなものを選りすぐる形となりました。製品同士でカブる部品もありますので、参考程度にお考えください。
ファインモールド
AM15 日本海軍・空母用パーツセット【ノースポート】 【Joshin web】
遮風柵、滑走制止索、着艦制動索基部、探照灯天蓋、着艦指導灯はこのパーツから。ほとんどすべてのパーツを使った最功労製品。
AM08 日本海軍・九六式25ミリ連装機銃セット【ノースポート】 【Joshin web】
環型照準機に機銃員シート、フットペダルまで再現している懲り様。そのかわり組立ては難しい。(説明書 1. 2
AM33 日本海軍・空母マストセット3【ノースポート】 【Joshin web】
蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴、祥鳳、瑞鳳、龍鳳用。起倒式無線マストはこのパーツを使用。
AM28 日本海軍・手すりセット1[チェーンタイプ直線部用]【ノースポート】 【Joshin web】
チェーンの『たわみ』まで表現されており、こだわる人向けに 曲線部用鉄棒タイプ もあります。キレイに取付けるにはキット側に穴あけ加工が必要なので扱いはやや難。
AM05 日本海軍・舷外電路セット【ノースポート】 【Joshin Web】
蒼龍一隻をこれ一枚でまかなえました。オマケの舷梯は斜めラッタルとして使用しました。(説明書 12
AM14 日本海軍・艦載機用パーツセット[前期]【ノースポート】 【Joshin Web】
零戦・99艦爆・97艦攻・彗星用のエッチングパーツ。 プロペラ・主脚・主脚収納庫・増槽・爆弾・魚雷・艦船用方位測定儀がセット。
(説明図 12
AM20 日本海軍・探照灯セット2 戦艦・空母・重巡用【ノースポート】 【Joshin web】
クリアー成型の探照灯。透明なレンズ面を再現可能。(説明書)
AG05 汎用アクセサリーステンレス帯金015 丸穴(幅狭)【Joshin Web】
飛行甲板裏やスポンソン裏のビーム、着艦照明灯などあらゆる箇所に使用、大変重宝しました。(画像)
AG05は強度優先のステンレス製で、加工し易さ優先なら真鍮製のAG06がお勧め。
AE06 汎用アクセサリー メタルメッシュ正方形・03【Joshin web】
艦尾着艦標識の左右の張出し部などに使用。(部分画像)
AE18 汎用アクセサリーメタルメッシュ正方形・09【Joshin Web】
艦橋窓、シールド付機銃と内火艇の手すりに使用。(旧品番AC06部分画像)
AE09 汎用アクセサリー メタルメッシュ長方形・0914【Joshin Web】
ファンネルキャップに使用。(部分画像)

ハセガワ
3S-03 ラジアルボートダビットA 戦艦・重巡用【amazon.co.jp】 【Joshin Web】 【ノースポート】
ダビット間に張られてる釣り下げロープやネットは付いていないので、そこまで求めるならファインモールド製品を買ったほうが良い。
3S-05 絡車セットA 【amazon.co.jp】 【Joshin Web】 【ノースポート】
リールの巻き芯部分はプラ棒やスプリングで自作する必要があります。
3S-06 水密扉セット【amazon.co.jp】 【Joshin Web】 【ノースポート】
角型、丸型のハッチ大小数種類と、昇降口のパーツセット。

その他メーカー
ジョーワールド JPE21 IJN空母用安全ネット&着艦指示灯【ジョーワールドHP】
飛行機転落防止ネットと乗員救助網、艦尾信号灯はこのパーツから。 (画像 / 説明図
ゴールドメダルモデル PE14 1/700日本海軍空母用 【ノースポート】
背の高いメインマストのトラス型支柱は、このパーツから使いました。
(説明図 12
トムズモデルズ PE51 WWII 日本海軍空母用1【ノースポート】
艦尾着艦標識の左右の張出し部の鉄骨部分はこのパーツから。
MSD あゆゲッターメタルパワーブラック 12m 0.15号【ナチュラム楽天市場店】
空中線に使用した鮎釣用金属糸。抜群の細さと質感がGood!



参考資料
日本の航空母艦―軍艦メカニズム図鑑 グランプリ出版 (絶版)【amazon.co.jp】 
船体構造、飛行甲板、艤装物、艦橋の図面やイラスト満載で、空母模型の制作資料として最強の本。蒼龍の艦橋はこの本を最も参考にしました。
〈歴史群像〉太平洋戦史シリーズ 特別編集 超精密模型で見る帝国海軍艦艇集 学研 (amazon)
今回大いに参考にした1/500蒼龍の超精密模型が掲載。他にも歴史群像シリーズ掲載の超精密艦艇模型35隻一挙公開されているお得な総集編。
雑誌「丸」編集部編 空母〈1〉 写真 日本の軍艦〈第3巻〉 光人社 【amazon.co.jp】 
中型〜大型クラスの正規空母の写真集。蒼龍は鮮明な写真がほとんど現存しない艦艇ですが、建造中の画像なら少々は残っており、それがこの本には多く掲載されています。
艦船模型スペシャルNo.10 空母 飛龍 蒼龍 雲龍型戦艦アイオワ級 モデルアート社(絶版)
私が知る限り、ここ10年ほどの間で本格的にディテールアップされたアオシマの蒼龍はこの本に載っている鶴岡政之氏の作品くらいなものです。大変参考になりました。



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