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ハセガワ 1/700 SCALE ウォーターラインシリーズ・ディテールアップ
旧日本海軍航空母艦 加賀 

製作期間:2000年11月〜2002年1月


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パースアングル:画像6枚 上面・側面など:画像6枚 細部:画像16枚 艦橋・艦載機:画像8枚


  • この加賀を使ったジオラマ「空母機動部隊第一航空戦隊」はこちらのページ
  • 中国のMin Zhuさんによるこの加賀を使ったPhotoshop合成写真。(ご本人のサイト「Model's Story」より転載 )
零戦と加賀 九六式艦戦と加賀 南雲機動部隊



加賀について
ワシントン軍縮会議により軍艦保有総トン数に制限を受けた日本は建造中の巡洋戦艦天城、赤城を空母に改造、戦艦加賀、土佐は廃棄が決定しました。しかし大正12年の関東大震災により天城が被災し廃棄処分となったので、加賀がその代艦となり空母としての数奇な運命を辿る事になりました。

加賀は当初、雛壇式の三つの飛行甲板をもつ世にも稀な「三段空母」として赤城とともに誕生しましたが数々の不都合が噴出し、昭和9年から赤城より先に大改装を受けて全通甲板の近代空母に大変身しました。
加賀は赤城と同時期に竣工したこともあり、実験的に赤城と差別化された構造をしていました。その主たるものが改装前の煙突のとり回しと改装後の島型艦橋位置、飛行甲板の傾斜角度で両艦それぞれの利点が後の翔鶴型に引き継がれています。

加賀の初陣は赤城より早く、昭和7年第一次上海事変に鳳翔と参加、昭和13年にも広東攻略作戦にも参加しました。その後昭和16年に新設された機動部隊こと第1航空艦隊に加賀は編入され、旗艦赤城とともにエースの第一航空戦隊を編成。日米開戦を迎えます。

運命のミッドウェイ海戦において加賀は急降下爆撃機の爆弾を艦隊で一番多く4発受け被弾。
そのうちの一発は飛行甲板中央で炸裂し、艦長以下艦橋にいたほとんどが爆死。さらにもう一発は飛行甲板を突き抜けて格納庫内で炸裂して艦は大炎上。その後ガソリン庫への引火で大爆発を起こして沈没したと言われてますが、自沈処分説もあるみたいです。
キットレビュー

このキット、設計が古い割にはかなり出来がいいです。WLの日本空母は近年再販された製品を除けば軒並みヤル気を奪うようなものばかりなのですが、その中でもこの加賀だけはトップクラスの出来といえます。
とはいえ古いキットなのでその中では優秀という意味でして、今の製品に比べれば相当見劣りするのは言うまでもありません。
amazon.co.jpの該当ページへ行く
ハセガワ・1/700ウォーターラインシリーズ
日本空母 加賀 【amazon.co.jp】
ではなぜ良く見えるかというと、モールドが全体的にシャープで彫りが深いので、目鼻立ちがハッキリして見えるからと思われます。

気になる主なポイントは、
  • 前部格納庫の舷外通路は右舷だけなのに左舷にもある
  • 左舷に大きく出っ張った二箇所の作業場スポンソンがない
  • 艦橋似てねー
細かく見れば他にもたくさんありますが、加賀は現存する資料が少なくて考証が進んでない軍艦なのであまり気にしなくてもいいのかもしれません。特に左舷はどうなっていたかかなり謎らしいですから。

なお、このキットも赤城と同様に三段空母のコンバーチブルを見越して開発されていました。ただ加賀の場合はそのためのパーツ分割が赤城に比べて合わせ目が目立たないように設計されており、ここでもこのキットの優秀性を垣間見ることが出来ます。


現在はフジミからハイディテールな1/700加賀が発売されています。(リンク先Amazon)
空母加賀 制作記

とはいえ今回は赤城と並べて飾るためにまたもや大改造で、実質的には船体を芯に使っただけであとはすべて自作という具合です。また、今回の加賀は赤城で培ったノウハウに加え、色々と実験的な改造を行ってみました。ひとつは格納庫などの内部構造の再現で、もう一つは自分なりの作風を表現する事です。おかげでスキルは随分と上がりましたが製作期間は一年を超えてしまいました。
ここまで凝った作り方は一般的ではありませんが、こんな作例もあるのだなと感じていただけたらと思います。
■第一回: 船体の基礎改造 ■第五回: 飛行甲板・艦載機の制作
■第二回: パーツの新造・取り付け ■第六回: 船体と飛行甲板との接着
■第三回: パーツの取り付け・細部の制作 ■第七回: 艦上構造物・火器の制作
■第四回: 飛行機格納庫の制作 ■第八回: 小物パーツの製作・仕上げ

参考資料
日本の航空母艦―軍艦メカニズム図鑑 グランプリ出版 【amazon.co.jp】 
船体構造、飛行甲板、艤装物、艦橋、艦載機など各パートごとの精密な図面やイラスト満載で、空母模型の制作資料として最強の本。加賀についても詳しく載ってます。艦橋やスポンソンのスクラッチなどはこの本の図面を利用しました。
真珠湾攻撃隊 新装改訂版 モデルアート社 (絶版)
真珠湾攻撃に参加した機動部隊6空母の艦載機の塗装とマーキングがカラーイラストで部隊・機体別に詳細に載っており、艦載機の塗り分けに重宝しました。また6空母の三面図、作戦中の写真など資料的価値も高い本です。
雑誌「丸」編集部編 空母〈1〉 写真 日本の軍艦〈第3巻〉 光人社 【amazon.co.jp】 
中型〜大型クラスの正規空母の写真集。加賀は現存する写真の少ない艦艇だが、そうは思えないほど多くの写真がこの本には載っており、特に戦前の三段空母期のものは鮮明。赤城・加賀・鳳翔・龍驤だけをセレクトして再編集したA5版のハンディ判もあります。
〈歴史群像〉太平洋戦史シリーズ (14) 空母機動部隊 学研 【amazon.co.jp】 
水野行雄氏による加賀のワイド折込カラー精密イラスト&考証があり、飛行甲板の鉄部分の継ぎ目や色味、人員・飛行機救助網、舷外電路と舷外通路の位置など、キットで省略されている細部はこれを手本にしました。


空母加賀用ディテールアップパーツ&レジンキット
ハセガワ 空母加賀 ディテールアップセットA【ノースポート】 【amazon.co.jp】
船体後部トラス支柱、短艇収納クレーン、煙突支持架、煙突キャップ、ループアンテナ、旗竿のセット。2006年に発売された新製品。
ハセガワ 空母加賀 ディテールアップセットB【ノースポート】 【amazon.co.jp】
無線マスト、遮風柵、人員救助網のセット。人員救助網は数が足りないので、同社の空母用 人員救助網セットが別途要る。
ゴールドメダルモデル PE14 1/700日本海軍空母用 【ノースポート】
1/700日本空母用エッチングパーツ。手すり、トラス支柱、飛行機救助網、電探、無線アンテナ支柱、マスト、艦載機用プロペラ等がセット。ピットロードが代理店。
(説明図 12
トムズモデルズ PE-57 WW II 日本空母用 II 【ノースポート】
今回の作例で使ったトラス支柱と短艇収納クレーンはこのセットから。真鍮製のため取扱いが難しく、今からなら新製品のハセガワ製加賀用ディテールアップセットAを使ったほうが良い。(説明図)
AM05 日本海軍・舷外電路セット【ノースポート】 【Joshin Web】
軽巡洋艦一隻分と説明書に書かれていますが、加賀一隻をこれ一枚でまかなえました。旗竿と舷梯が2セットずつオマケで付いてます。(説明図 12
AM14 日本海軍・艦載機用パーツセット[前期]【ノースポート】 【Joshin Web】
零戦・99艦爆・97艦攻・彗星用のエッチングパーツ。 プロペラ・主脚・主脚収納庫・増槽・爆弾・魚雷・艦船用方位測定儀がセット。
(説明図 12


1/700空母加賀がアメリカの模型誌に載りました
アメリカのフォトマリン・アーカイブ社が発行する艦船模型専門季刊誌「モデルシップジャーナル」の2002年夏号にこの1/700空母加賀が掲載されました。

4月の上旬に私の元へ、「クラシック・ウォーシップス社」という米国アリゾナ州のレジン製艦船模型メーカーの社長さんであるスティーブ・ワイパー氏からメールが来ました。このスティーブ氏、艦船模型メーカーの経営以外にモデルシップジャーナルの編集にも携わっており、当サイトを見てオファーしてきたというわけです。
モデルシップジャーナル2002年夏号

掲載ページ

モデルシップジャーナルに載った加賀 その1
モデルシップジャーナルに載った加賀 その2
この模型誌、なぜか今どきモノクロなのですが、このあたりは日本と米国との文化や印刷事情の違いなのかもしれません。なんにせよ、これだけ大々的に扱ってもらえるとは実に嬉しい限りでして、モデラーなら誰もが夢見る模型誌掲載がまさか日本を飛び越えて艦船模型の本場であるアメリカで叶うとは思っても見ませんでした。



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