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映画 「男たちの大和」 尾道ロケセット 〔2〕

2005年12月9日 広島県尾道市  写真:おまみ・N君・Inochan



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九六式3連装25ミリ対空機銃
映画劇中で登場した武器の中で主役だったのは46cm主砲でなくこの25mm機銃でした。
大和のほとんどの砲台や銃器が仰ぎ見なければいけない高い位置にあるのに対し、特設の25mm機銃だけが同じ目線に装備されておりたいへん撮影しやすかったです。
プラモデルではどんな形してるのかさっぱりわからないほどディテールのが省略されたちっぽけな部品のひとつですが、実物大のレプリカを見るとかなり大きく、実は相当な重火器だとわかります。

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これ1基につき9人が1組となって操作していたのですが、ハンドルを回して旋回や俯仰していたのではどう考えても高速で突っ込んでくる敵機に間に合わないでしょう。しかも生身むき出しですから機銃掃射受けたらそれだけで一気に9人も死んじゃうわけで・・・映画でもここの配備員は虫けらのように殺されていました。実際にここに配備されていた人達の事を考えるとちょっと胸が痛くなります。




シールド付九六式3連装25ミリ対空機銃
こっちは主砲発射時の爆風避けのシールドが付いたタイプ。なにぶん爆風避けなので防弾効果はほとんどなく、機銃掃射されるとバンバン穴が開いたとか。しかもこんな大きなモノが爆撃で十数メートルも舞い上がったいうのだから戦争は恐ろしい・・・。

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シールド付き25mm機銃は、最終増設されたものは工員の技量不足や工期短縮でシールドの角が尖っていたとされているのですが、セットのものはすべて角が丸められていました。おそらく全部同じ型から起こしたのでしょう。
とはいえ針ネズミの如く天を仰いで居並ぶ機銃群は迫力満点で、最も大和らしさを感じる部分のひとつです。




艦橋基部
艦橋は本来の高さの1/3くらいまでが再現してあり、副砲とほぼ同じ高さです。それでも夏のレポートでInochan氏も言ってたように、ちょっとした雑居ビル程度の高さは軽くありました。

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内輪から聞いた話ですと、艦橋は予算との関係で完全再現が見送られてしまったのだとか。あと建築法も少なからず絡んでいたそうです。

このセットは来場者が現時点すでに全期間目標の倍をほぼ叩き出しているほどの大盛況ぶりですが、もし艦橋があれば、さらに倍の集客が出来たんじゃないかと思います。とはいえ映画撮影のためのセットであって観光用に作られたわけじゃないので仕方ないんですけどね。




八九式40口径12.7センチ連装高角砲
高角砲はシールド付きのものが二階くらいの高さにある増設高角砲甲板の上に設置されており、模型では随分低い位置のように見えても実際はこんな高いところにあったのかと感じました。
さらにシールドなしの高角砲はそれよりさらに一段高い位置の上高角砲甲板に設置されているため、その形をハッキリと見れなかったのが残念。

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高角砲を過ぎるとそこは階段になっていて下艦となります。我々はかなりゆっくり見ながらあちこち写真を撮って回ったので40分くらい甲板上にいましたが、普通なら20分ほどかと思います。



食堂・展示ルーム
ロケセットを降りてドライドックを右手に見ながら連絡橋を渡ると、そこには管理棟と呼ばれるプレハブがあり、二階では展示ルームで映画で使われた道具やセットの展示やスチール写真のパネル展が展示されていたり、別室では映画の予告やメイキングが流されていました。ただしこれらは撮影禁止なので残念ながら写真はなし。

小道具は衣装や当時のタバコ、遺書、戦気高揚のポスターをはじめ、何気ないちょっとした日用品など数多くありましたが、どこからどう見ても本物でお世辞抜きにめちゃくちゃよく出来てました。

大和艦内のセットは以前のページで少しだけ載せてましたが、あれも撮影禁止だったんですね。東映さんすみませんでした。m(_ _)m

一階は食堂とみやげ物売り場になっていました。スタッフ用の食堂をそのまま流用しているのだとか。

みやげ物はTシャツやタオル、菓子などに映画のロゴをあしらったありふれたものが多く、失礼だけど欲しいなあと思うものはあまりなかったです。(なんせ尾道ラーメンにも強引に映画のステッカー貼ってるし)

そんな中で目を引いたのが「大和ラムネ」。大和艦内にはラムネ製造機があって乗員に配っていたことにちなんだ商品です。3本セットで630円は大阪人の金銭感覚ではちょっと高いけど、飲み口の包装に戦時下の新聞紙の複製品を使ったりとなかなか良い演出されてました。これはみやげ物として買って帰ると結構喜ばれそうだ。




総括
そんなわけで尾道ロケセットの見学は終了。
たとえ完全再現されてなくても、実物大の大和を体感するというのはものすごいインパクトで、実際には大和はこんな風に見えたんだと興奮しぱなし。実に貴重な体験でした。

それと同時に感じたのは、なんとまあ鋲の多いフネかと。当時の日本は溶接技術の信頼性が乏しく、最新鋭艦の大和といえど装甲板の接合にはリベットが使われていたというのは資料を何度も読んで知ってはいたのですが、実際見てみるともうそこかしこまるで刺繍のごとくビッシリと鋲だらけでした。

我々が目にする現代の船はほとんど溶接で作られているのでここまで極端な鋲打ちは見ることがなく、こういう箇所に半世紀もの基礎技術の差を感じました。しっかり再現した制作サイドには頭が下がります。

あと、気になったのがセットの老朽化。
一般公開開始の2日目に見学したInochan氏の時と比べると、やはり塗装の剥がれやベニヤ表面の荒れなど確実に増えてました。

例えばこの辺とか・・・


あとこの辺も

やはり映画用の木製セットですから長期の耐久性は無視して作られてるでしょうし、加えて海沿いに建てられてるために潮風にさらされていることもあってか、確実に寿命が近付きつつあるようです。(追記:年末の休艦日に行われたメンテナスで多少リペアされた様子です)

なんにせよ、私が生きてる間にこんなすごい大和のセットはもう作られないかもしれないので、見ておいて良かったです。



おまけ
ロケセットの解体工事をライブカメラでレポートしてみました。(2006/06/25)
このサイトの大和ミュージアムと尾道ロケセットの画像がイタリアのミリタリー誌に載りました。(2007/06/09)




映画「男たちの大和」尾道ロケセット(公開終了しました)
場所: 広島県尾道市向島町111番地「日立造船向島西工場」
公開期間: 05年7月17日〜'06年5月7日
開館時間: 9:00〜18:00 (7月〜9月) / 9:00〜16:00 (10月〜3月)
休艦日: 毎週木曜日、12月29日〜12月31日
観覧料: 一般(中学生以上) 500円 小学生 300円 / 20名以上の団体は大人 400円、小学生 200円
駐車場: 普通車200円/バス500円
問合せ先: 大和ロケセット公開推進委員会事務局
TEL: 0848-20-6262



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