「痛車」について |
痛車(いたしゃ)というのはアニメや漫画、ゲームのキャラクターなどサブカルチャー系キャラクターのカッティングシートを貼ったデコレートカーのことで、最近流行のオタク文化の一種です。 その姿が一般人から見ていて「痛々しい」こと、そしてイタリア車の略語「イタ車」を掛け合わせて痛車と呼ばれています。
それらのほとんどは企業による販促活動等ではなく個人による趣味として行なわれてたものがクチコミにより広まったムーブメントで、現在では実車にとどまらずゲームにおけるオリジナルペイント車が流行ったり(TECHSIDE.blog)、専門誌が出版されるなどさらなる広がりを見せています。
そして模型の世界でも2008年2月にアオシマから「痛車シリーズ No.1 1/24 FD3S
RX-7 涼宮ハルヒの憂鬱」がリリースされました。同シリーズはカープラモデルとしては近年稀に見るヒット作となり、現在も新作がリリースされ続けています。 |
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キットレビュー |
このキットは小売店の入荷数がショート(入荷数が発注数を下回る現象)するほどの人気商品で、今年2月に発売されるや否や秋葉原や日本橋の店舗ではわずか数日で完売。その後もごく僅かしか再販されていない事もあってヤフオクで高値で出品されていたり、アマゾンでびっくりするようなぼったくりプレミアム価格で売られていたり、アフターサービスの部品請求でデカールのみを大量注文しようとした輩が続出したためにデカール販売を取りやめたりと、その人気ゆえ何かと話題が尽きず、これはカーモデルでは異例のことです。
さて中身はというと、ベースはザ・ベストカーGTシリーズのFD 後期5-6型(Amazon) 。それにSパーツシリーズ No.100の「WedsSport SA-70 18インチホイール」と涼宮ハルヒデカールを追加したものになっています。
元が10年以上前のキットのせいかヒケやパーティングラインが目立ち始めており、パーツの合いが良くない部分がいくつか見受けられます。またダッシュボードの形状が初期〜中期1-4型のものであったり、シャーシーを後にリリースされたFC3S
RX-7と共有したときに金型を改修したため燃料タンク左側が切り取られていたりと、細かい部分が大味。ただプロポーションは後期型FD3Sの特徴を実によく捕らえており作りやすさも及第点で、普通に考えると特に問題のない佳作キットです。
一方デカールに関しては印刷品質は美しいのですが、かなり薄手のシートため初心者は扱いに一苦労するかもしれません。また透けやすいのでボンネットのHマークとハルヒが重なる部分とそうでない部分との色の違いが目立ちます(今回の制作では対策済み)。
なおこのデカールの品質は2009年の再販分以降はデカールが透けにくく改良されており、今現在同シリーズの新作キットも同様に透けにくいものが使われています。
多少辛口のレビューになりましたがこうした遊び心ある製品をリリースし、これによってプラモで痛車を楽しむという新たなジャンルを開拓したアオシマには心から拍手を送ります。
 1/24スケール痛車シリーズNo.1 涼宮ハルヒの憂鬱 【Amazon】
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1/24 痛車 涼宮ハルヒFD3S RX-7制作記 |
私はラッピングカーが好きなこともあり、痛車はその延長にあるものとして抵抗なく受け入れられました(とはいっても実車を目の前で見たらやっぱりちょっと引くけどね)。
またかつてFC3Sに12年間も乗っていたこともあってRX-7を始めとするロータリー車が大好きなので、痛車というネタ企画ながら作っているうちについ熱が入ってしまい、その結果相応にディテールアップされたものとして完成しました。
キットは5−6型を再現したものですが実際にはそうもなっていない箇所もあるので6型に統一改造。そして黒一色の内装は光沢や色調を微妙に変えることで部品それぞれの素材の違いを表現しました。またインテリアにはキットのキャラデカールを使わずに、実際に存在する涼宮ハルヒグッズを1/24スケールで自作して飾りました。これはこの模型が架空のものではなく、実際に存在するかもしれないスケールモデルであるという私なりのこだわりです。(ただし世間一般から見ればキャラクター商品なので、「キャラクター模型」の括りにカテゴライズしています。)
一番の問題点であるボンネットのHマークとハルヒのデカールの透けによる色味の差は、MDプリンターで下地用白デカールを自作することで回避しました。 |
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