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ファインモールド 1/72 月刊モデルグラフィックス2007年11・12月号付録
至高のゼロ(1/72零戦21型) 制作記 |
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第5回 機体の制作 2
スミ入れ&パネル塗り分け
スミ入れの拭き取りにはガイアノーツの新製品『フィニッシュマスター』を使いましたが、毛羽立たないし凹モールドにだけうまくスミが残りやすくてコレは結構使えます。
でもなんだか斜めカットされた面より背中の丸い面のほうがキレイに拭けるような・・・(笑)。
吸収力は綿棒より弱くて汚れてくると表面に拭き残しが出やすいかな。綿棒と上手く使い分けるのが良いみたい。
このキット、主翼パネルの一部と各動翼に梨地処理が施されています。私は零戦に詳しくないのでこれらが材質の違いを表現したものかどうかわからないんですが、これはこれで面白い表現だと思いました。
そこで模型的な演出としてこれらの部分にだけつや消しクリアーをコートして、質感を他のパネルと意図的に変えてみました。
赤い丸枠内のパネルとエルロンのみがつや消しになってるのがわかるでしょうか?
尾翼のラダーとエレベーターも同様です。垂直尾翼のほうは撮影時テカリがどうしてもうまく入らなかったのでちょっとわかりにくいかも。
飛行機は表面がのっぺりした形ですから、こういう光沢によるパッチワークぽい演出はメリハリが出て面白いかもと勝手に思いました。
カウルフラップの加工
モデグラ誌の組立説明図を見てもわかるとおり、このキットのカウルフラップは、カウル側に接着する設計になってます。
でも本物のカウルフラップはカウル側ではなく、エンジン側に取り付けられています。
エンジンが再現されてるとはいえ、元々このキットはカウルを取り外した状態で飾ることを前提に作られてるわけでもなさそうなので、1/72というスケールや作りやすさを考えると仕方のないところでしょう。
私はカウルを取り外してエンジンを見れるように改造するので、実機のこの構造を再現します。
カウルフラップ後端を向こう側が透けるくらい超薄々攻撃を行い、のりしろを切り取って代わりに0.2mm真鍮線を取り付けて接着タブとします。
カウルフラップを塗装して、後ろ側のカウルフレームに瞬接で取り付けます。接着面積があまりないので硬化促進剤を使ってガッチリ取り付けました。
ちなみにカウルフレームは前より後ろのほうが若干大きい事に今回気付いたので、後ろ側を再度作り直しています。カウル内径とのクリアランスはもう0.5mm以下のギリギリのところ。
本物と比べるとカウルフラップがゴツくて少々不細工ですが、実はカウルフラップがゴツいのではなくエンジンが一回り小さいんです。
この小さなスケールでカウル内に無理にエンジンを収めるため、どうしても設計に無理が出るんですね。ここはリアルさより雰囲気重視ということで。
仮組みをクドいほど行ったので、カウルをハメるとこの通りカウルフラップとピッタリとチリが合います。
カウルにも一応スミ入れをしてるのですが、溝がつや消しになってるくらいにしかわかりませんね。
翼端部ヒンジ
これも前回の続き
中央のヒンジが大きくて両方の断面部同士が離れすぎなので、ヒンジの寸法を若干短く詰めます。
こうして狭まった両パーツの前後両端に、省略されている小さいヒンジをエッチングメッシュの角を使って再現。肉抜き穴も一部省略されているので追加しました。
せっかく可動式をあきらめて差し替え式にしたんだから、こういう部分は出来るだけディテールアップしたいところ。
省略されているケーブル(翼端灯点灯用?)を釣り糸で追加。
パーツ塗装後に前回複製した翼端部に接着して出来上がりです。
主翼に取り付けるとこんな感じ。
断面部が外板よりもうちょっと奥まった雰囲気だとベストなんですが、簡易複製パーツなので精度に甘さが出ましたね。でも接写ならともかく肉眼ではわからないレベルなのでまあ良し。
この折りたたみ状態の差し替えパーツはある程度の強度を持たせたつもりですが、真っすぐ状態のものより差込ピンの固さを緩めに調整してあります。外そうとしてバキッといったら困るもんね。
足まわり&ウェザリング
主脚収納庫扉のリンケージを真鍮線で再現しました。
引き込み装置のモールドが寝てる状態なので形に多少無理ありますが、なんにもないよりは多少マシかと。
主脚はブレーキワイヤーを#30ステンレス線で再現しました。
滑油冷却器空気取入口には、エッチングメッシュと整流板を追加です。なぜかここの中身手抜きなんですよね。断面はかなり薄くてよく出来てるけど。
緒戦の空母艦載機はピカピカに磨き上げられていたというのが定説なんですが、見映えを狙って微汚しを入れました。磨いても落ちない黄ばみやシミぽくしています。
キャノピー
よく「苦行」と揶揄されるキャノピーのマスキングです。確かに時間かかる・・・初心者にはキツいかもね。
「ジャーマングレー」 → 「サーフェイサー」 → 「灰緑色」の順に吹いて、窓枠の機内側の色も再現しました。
キャノピーはビックリするほど機体にピッタリ合います。
キャノピーを付けるとせっかく細かくディテールアップしたコクピットがほとんど見えなくなるのではと思いましたが結構よく見えるので一安心。
パーツの精度が高いので、クローズド用パーツを使わなくてもこれ位違和感なくクローズド状態を再現できます。
ペーパーボンドを使用してるので、どちらの状態でも選べるようにしてあります。
その他細かいパーツを取り付けて零戦完成です。
当初から考えてたのですが、このスケールでいくら細かく作っても正直パッと見のインパクトに欠けるので、アクセサリーと絡ませて簡単なビネット仕立てにします。
というわけで、次回はアクセサリーとディスプレイベースの制作。
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