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ノモ研 増補改訂版
工具・材料カタログから、キットの改造や塗装、複製までモデリングのすべてを一冊に凝縮


この本の表紙に書かれているキャッチコピーですが、これ以上の表現はないくらいこの本は模型製作に関するあらゆる事を載せた濃い内容になっています。


「NOMOKEN(ノモ研)」はプロモデラー野本憲一氏による模型製作のハウ・ツー本で、2003年11月に発行されたもの。

そしてこの増補改訂版は今からちょうど1年前の2008年1月に発行されたマイナーチェンジ版で、 旧版の頃から良い評判を聞いていたので当時発売されてすぐに買いました。(もっと早く紹介しようと思いながら1年経ってしまった・・・)


変更点としては、

  • ページ数:162pから186pに増量
  • ツール、マテリアル類の掲載内容を最新のものに変更
  • 解説や製作例の加筆、変更
  • 一部ビジュアルも変更
となっており、よりわかりやすい内容に刷新されているとの事。


私は旧版を持っていませんのでそれらの変更点を対比することは出来ませんが、確かにまだ記憶に新しいここ1〜2年ほど前の新製品や、2003年当時にはなかったキットが作例に使われており、今の時代に合った内容になっています。


で実際に読んでみましたが、部品の切り出し方といったごく初歩的な事から結構上級者向けのテクニックに至るまでキャラモデル、スケールモデル双方の作例を使ってカラー写真で図説されています。よくこんな細かいところまでいちいち拾ったなと思うくらい丁寧で、とにかく観点に死角が少ない!

ツール・マテリアル類の紹介は、ただ単に数をたくさん並べてメーカー受け売りのキャプションを入れているのではなく、野本氏本人による使い勝手などの解説がされています。大人の事情なのかさすがに「この商品は地雷なので買ってはいけない!これがベスト!」みたいなストレートな書き方はされていませんが、読者が商品を選ぶにあたって参考になる内容であると思います。



模型工具カタログより。

ピンセットひとつでもこれだけたくさんの種類が載せられており、それぞれの使用用途やメーカーごとの特徴まで細かく解説されています。



模型材料カタログより。

各社エポキシパテの紹介ですが、説明文以外にも「プラへの食い付き」、「キメの細かさ」、「切削性」の3項目でクロスレビューされています。



工作テクニック/組立て編より。

ニッパーの正しい使い方から接着剤の使い分け、継ぎ目消しなど一連の基礎工作術の解説ですが、仕上がりの要となるサフ吹きには素材によって吹き方を変えるなど、細かな技も解説されていました。



工作テクニック/改造編より。

パーツの形状を変更するのでも、プラ材、エポキシパテ、ポリパテごとの工作術の違いや、スジ彫りでも道具による仕上がりの違いといった具合に、ツールやマテリアルごとの特徴や差が解説されています。読んでいてなるほどなあと思う・・・


塗装テクニックより。
混色の注意項目や重ね塗りによる発色の差、エアーブラシの基礎&応用塗装術や分解メンテ法、キレイな缶スプレー塗装法、ムラの出にくい筆塗り、さまざまなウェザリング技など。


カーモデル製作で最も繊細な技量のいるデカール貼りと研ぎ出しの解説のページ。単に手順を追っていくだけでなく、デカールのシワ発生や研ぎすぎによる下地が出たときなどのトラブルの対処法も説明されています。


これらのページはほんの一部で他にも内容が盛り沢山なのですが、これ以上画像を載せるのはちょっとはばかられますのでコンテンツ一覧を書き記しました。
各項目 解説内容
1.模型工具カタログ カッター / Pカッター / コンパスカッター / ナイフ / その他カッター&ナイフ / ノコギリ / プラ用ニッパー / その他ニッパー / ペンチ&プライヤー / ハサミ / ピンバイス、ドリル / ポンチ / ニードル / 金ヤスリ / サンドペーパー / ピンセット / モーターツール / 彫刻等 / 定規 / ガイド
2.模型材料カタログ プラセメント / 瞬間接着剤 / その他接着剤 / プラ素材 / その他樹脂素材 / 金属素材 / ラッカーパテ / エポキシパテ / ポリパテ / サーフェイサー
3.工作テクニック / 組立て編 部品の切り出し / パーティングラインの処理 / 組み立て / 接着 / 継ぎ目消し / 表面処理
4.工作テクニック / 改造編 部品の切断 / プラ素材を使った形状変更 / エポキシパテを使った形状変更 / ポリパテを使った形状変更 / スジ彫り / モールド付け / プラ素材の熱加工とヒートプレス / バキュームフォーム / ディテールアップパーツの使いこなし / ポリキャップによる可動 / 応用編:ストライクガンダム改造
5.塗装用具カタログ 塗料 / 缶スプレー / 筆 / マーカー / ウェザリングマテリアル / エアブラシ / コンプレッサー他 / マスキング材 / 周辺用具 / 塗装ブース / 研磨剤 / デカール関連
6.塗装テクニック 塗料を使う前に / エアブラシの扱い方 / エアブラシテクニック / マスキング / 缶スプレー / 筆塗り / ウェザリング / 研ぎ出し / デカールの扱い方 / デカールの自作
7.型取り・複製 複製用マテリアル・カタログ / 型取りの基本 / 両面型での型取り / その他複製テクニック


このサイトのModel Tech Tipsなどもそうですが、インターネットには無料で模型の作り方を紹介してるサイトやブログ、掲示板がたくさんあり、今やそっちで情報収集する人のほうが増えてるんじゃないかと思います。

でもそれらの中に製作の一連の流れを順を追ってきっちりと解説してるものはまずありません。大概は歯抜け箇所があって点と点が線で繋がっていないので、とっかかりとしては良くても補助的な域を出ていないのです。やはりタダで手に入る情報には限界があり、それ以上のものは身銭を切らないと得られないという事でしょう。

かく言う私も模型製作に関しては一通りのことはできる様になって大抵のことは知っているつもりでしたが、改めてこの本をみるとその知識にも歯抜けがあって、経験と独学だけでは得られないものがまだある事がわかりました。

オールカラー図説186ページで2200円。この内容でこの価格は安いと思います。あと1000円高くても良い感じ。なんだかホメてばかりですがそれくらいこの本は文句をつけるところが少なく、模型ハウ・ツー本のバイブルとして長らく君臨してるのは伊達じゃないと思いました。
今でも製作中にときどき読み返しては参考にしています。

(2009/01/18)

※追記(2014/12/15)
増補改訂版以降のホビージャパン連載分を追加した「新訂版」が発売されました!




NOMOKEN 野本憲一モデリング研究所 新訂版 (ホビージャパンMOOK 611) 【Amazon】



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