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GSIクレオスのエアーブラシの洗い吹き用ツール「Mr. クリーナーボトル」。
エアブラシを洗浄したり、カップ内に余った塗料を吹き捨てる時に、周囲にミストやシンナーの刺激臭が拡散しないようにするための環境ツールです。体内吸入の危険性を削減できます。
その存在は知ってるけど、簡単構造のわりに価格が定価1,890円とお安くないので購入に踏み切れない人もいるでしょうから、その使い勝手をレビューします。
ボトル本体はガラス、クリーナーキャップ部は樹脂製でしてかなりしっかりした作りです。
寸法は、
- 82mm(w) x 106mm(H) x 93.5mm(D)
のキューブ型。
ボトル底にラバースポンジ製のクッションが付いてます。
付属品は
- フィルターキャップ
- ノズル受けキャップ
- プロスプレー専用ノズル受け
- フィルター x 3
が同梱されています。
パッケージに記載されている取扱説明書です。(クリックで拡大)
自作代用品
クリーナーボトルは、要は中に廃液を吹き捨てるための物ですから、無理に買わずとも容易に自作できます。
気密性の高いカップ型タッパーのフタにノズル受けの穴と空気の逃げ口を開け、ミストが拡散しないようにマスクの生地などで空気の逃げ口を塞いで完成。費用はわずか数百円で使用には十分耐えます。実際私はこれを数年前までずっと使い続けてきました。

ただし両方使ってみると分かるんですが、性能はやはりMr. クリーナーボトルのほうが上。
自作品は空気の逃げ口を大きく作らないとうまく排気しないし、また大きくすることにより吹き返しが強くなり、シンナー臭が漏れやすいです。
また使用頻度や材質によりますが、タッパーは半年〜1年くらいで切り口からだんだん割れてきます。それでもコストのみで比較したら圧倒的に割安ですけどね。
Mr. クリーナーボトルの性能
Mr. クリーナーボトルは空気の逃げ口が小さく、中に分厚いフィルターが入ってます。それでも機能するような設計になってるのです。
使い方は自作品と同じで、ノズル受けにエアブラシの先を挿入して、残塗料やうがい洗浄後の廃液を噴射します。受け口の内径にはOリングが仕込まれていて、気密性が保たれるようになっています。


ノズル受けの先にはくの字型に折れ曲がっていて衝立(ついたて)があり、これがこの製品のミソ!
霧状の噴射液が衝立にぶつかってすぐ液化するので吹き返しが起こらず、結果排気が少なくて匂いもあまりしないのです。
またクリーナーキャップ部は樹脂製(ポリエチレン?)ながら強靭で、ツールクリーナーとかのエアブラシ専用洗浄液にも侵されません。もう3年以上日常的に使ってますが全くなんともないです。ボトルもガラス製なので、汚れも拭いてやればシミにならずにキレイに落ちます。

使用後は排気口とノズル受けに付属のフタをすれば、廃液漏れを防げますしニオイもシャットアウトできます。
ただし気密性はそれほど高くないようで、夏場は一週間くらい放置してると中の廃液が全部揮発してしまった事もありました。なのでそのまま廃液入れとの兼用は無理。

ボトル内の廃液を処分するときは、クリーナーキャップを外して廃液を排出します。
ただボトルの口はこんな風に広く開いていて注ぎ口がないので、うすめ液の空瓶のような狭い口の容器に直接注ぎ移そうとすると、かなりの確率でこぼれたりフチから垂れたりして周りを汚してしまい本末転倒です。
またボトルのコーナーに廃液が微妙に残って完全に流し出す事ができません。
なので廃液を取り出すには、希釈後に不要になった紙コップとかに一旦移して廃液容器に注ぐとか、もしくはスポイトで吸い出すのが賢明ですね。
もし廃液を貯めずにすぐに処分するのなら、ボトル内にあらかじめティッシュ等を入れて使うと全部吸い取ってくれるので、処分が楽になります。
取扱説明書の謎
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取扱説明書には、「使用する前に、ボトルに水を底から15mmくらい入れておいてください」と書かれています。
その理由がわからなかったのでクレオスに質問したところ、
- 水を張らないとボトル内部を塗装する状態になるので、それをを防ぐため
- 水でミストを受け止めて清掃をしやすいようにするため
という回答をいただきました。
実際やってみると、使用中はシンナーと水は混ざってるのですが、しばらく経つと左画像のように分離してシンナーは水に浮きます。確かにこれならシンナーが揮発しても水が残るのでボトルは汚れにくいように思います。 |
ただし水を混ぜてしまうと、当サイトのModel Tech Tipsで紹介してるシンナーの再生が出来なくなりますし、残塗料処理剤を使って処分する場合に、凝固させるに必要な水の正確な量がわからなくなってしまいます。
※サイト内関連ページ: 使用済みシンナーの再生法 & 廃棄法 【Model Tech Tips】
実際のところ、ボトルに水を張らなくてもエアブラシの洗浄効果は変わりませんし、吹き返しが強くなってシンナー臭がきつく漏れるような事はなかったです。なので私は水を入れずにそのまま使用しています。
短所

ノズル受けは通常のエアブラシ用とプロスプレー用があり、取り外して交換できるようになっています。(左画像はプロスプレー用ノズル受け装着時)
しかしそれでもクレオスの全エアブラシに対応しているわけでなく、使えない機種が一部に存在します。他社製品なら仕方ありませんが、自社製品をフォローできてないというのはいかがなものかと。
その未対応品というのはこの2つ。
特にPS290は、クレオスが自社カタログにて「おすすめ品」として扱ってる看板商品のひとつでして、私も0.5mm口径のエアブラシはこれが欲しかったのですが、ノズル形状未対応なためにやむなくプッシュボタンタイプのPS266を購入しました。
せっかくノズル受けが交換できる設計なんだから、PS266用ノズル受けも作って欲しいところですね。
価格設定とかの理由でクリーナーボトル側にこれ以上付属品を付けられないなら、エアブラシ側にを付けるかもしくはメーカー直販のオプション設定でも構わないです。

また、クリーナーキャップ裏側に巻かれている白い繊維質のパッキンは、長く使っているうちに摩擦や廃液の浸食により劣化します。ですがクレオスではこれをアフターパーツとして販売していません。
ボトル本体は頑丈で半永久的に使える代物なので、パッキンが痛んだだけで新品を買い直すのは、価格を考えるともったいないです。
メーカー直販で良いのでフィルターやノズル受けと同じように部品販売して欲しいところですが、素材メーカーへの最低発注ロットがとんでもない数量だそうで、部品販売しても単価が現実離れした価格になってしまうのだそうです。
隙間テープとかで代用したほうが良いですよとサポート係の方に言われました。ノズル受け内部のOリングも然り。
部品販売対象品になってるノズル受けとフィルターですが、直販でなくてもクレオス製品を取り扱っている小売店で取り寄せ注文することも可能です。ちなみにフィルターは5枚セットで直販なら送料税込320円ですが、お店で取り寄せお願いしたところ税込126円でした。圧倒的に取り寄せのほうがお得!
競合他社製品
模型関連メーカーにおいてエアブラシ洗浄ボトルを出しているのはクレオスだけですが、他分野を主戦場としているエアブラシメーカーからも同じ用途の製品が出ています。

デザインは違えど基本的にはどれも同じ構造で、噴射した廃液を衝立に当てて液化させ、排気口にフィルターを設けて臭気を抑えるしくみです。
ただし競合他社製品はいずれもエアブラシスタンドとしての機能を併せ持ってる代わりに、クレオス製品より1000円以上高い価格設定になっています。
Mr. クリーナーボトルは割高感あると二言目には書いてきましたが、これらの中ではむしろ一番安いのでクレオスが暴利を貪っているわけではなく、エアブラシ洗浄ボトルの価格相場がこういうものなのでしょう。限られた用途なので日用雑貨のガラス瓶のように大量生産されませんから、品質は同じようでも製造単価が跳ね上がるのだと思います。
感想
エアブラシ洗浄ボトルは、言ってしまえばなくても模型製作に一切支障が出ないアイテムです。
ただ昨今世間が環境問題に敏感になっており、同居人や家族がいる場合は模型趣味は周りの理解なしには継続できない状態です。部屋が散らかる、汚れる、シンナーの悪臭といった迷惑要素があるからです。
一般的感覚での割高感は否めませんがそこは発想の転換で、使い捨てではなく長く使える道具ですし、2千円以内で汚れと臭いの問題が軽減されるなら安いものとも言えます。
実際に使ってみれば案外使える代物ではありますので、環境に気遣いされる方ならば塗装ブースと同列に考えて、自作でも構わないので揃えておいたほうが良いと自分は思います。
(2012/08/17)

Mr.クリーナーボトル (エアブラシ洗浄ボトル) PS257 【Amazon】

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