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使用済みシンナーの再生法 & 廃棄法
シンナー再生法 /再生溶剤一覧表 /シンナー廃棄法 
私の場合、ひとつの模型に使用するシンナー(溶剤)の量は400ml瓶約二本分にもなります。
その用途比率は1/4が塗料希釈用で残りの3/4は道具の洗浄用といった具合で、特にエアブラシ洗浄に使用するシンナーの量は結構なものです。

少しセコいですが正直シンナー代もバカになりません。

そこで聞き合わせた方法ですが、私は使用済みシンナーをろ過して洗浄用などに再利用しています。




シンナー再生法


手順


その1
まずエアブラシ内の余った塗料や洗浄後のシンナーを吹き捨てる容器を用意します。

専用品としては、まわりにミストが飛び散らないMr.クリーナーボトルという環境に配慮したエアブラシ洗浄ツールがクレオスから発売されており、私もこれを使っています。




その2
でも単純構造のわりには価格もそこそこしますので、性能は多少落ちますがカップ型のタッパーを利用した自作品でも使用に耐えます。

その場合はフタにエアブラシの挿入口と空気の逃げ口を開け、空気の逃げ口にミスト飛び散り防止のフィルターをかぶせます。使い捨てマスクのお古なんかを再利用すると良いでしょう。


その3
廃液は気密性の高い瓶に移して貯めておきます。エアブラシ用に薄めた塗料が余ったときや、筆洗浄などに使用した廃液も同様です。

写真は見えやすいようにジャムの空き瓶に入れてますが、私は普段溶剤の空き瓶を使用しています。市販のPPボトルなどでも良いです。


その4
廃液にとの粉を適量入れてよく混ぜますとあら不思議!との粉が薄め液内の顔料を吸って沈殿を始めます。

「との粉」とは木材塗装用の目止め材でして、価格は200円〜500程度と安価でホームセンターで手に入ります。小学校の図画工作や中学の技術・家庭の木工作で一度は触ったことのある人も少なくないのではと思います。

との粉は本来の目的以外にもジオラマで地面の素材やウェザリング材として模型制作には色々と使えます。



その5
沈殿は攪拌後すぐに始まりますが、一晩置くと左画像のようにきれいに分離します。

さらに数日置くと、沈殿したとの粉がドロリとした緩い粘土状になるので、上澄み液の抽出が楽になります。


その6
この上澄み液にはとの粉の細かい粒子が浮遊していることもあります。
そこで念には念を入れ、スポイトに採ってコーヒーフィルターなどのろ紙でろ過します。代わりにキムワイプやティッシュを使ってもそこそこいけます。


再生完了!
こうして抽出された再生シンナー。ほとんど無色透明に戻りました。

私はこれを筆やエアブラシ洗浄用として使用し、最後に新しいシンナーでリンスするようにしています。
成分に変化があるかどうかまではわかりませんが、全く支障なく使えています。


後始末
最後に瓶の底に残ったとの粉は数日間乾かしておくと固まってポロッと簡単に取れるようになります。
それを新聞紙やティッシュペーパーに包んで可燃ゴミとして廃棄します。砕いてジオラマ用の瓦礫や土の素材として使用しても良し。


使用するとの粉の分量は溶剤の汚れ具合によって左右され、汚れが強いと沢山要り、弱いと少なくて済みます。まず溶剤のおよそ1/6くらいで試してみて、沈殿後に透明度が足りなければさらに小さじ一杯ほど足し、再度よく混ぜ合わせて様子を見ていきます。一度行ったら次回からは大体の分量がわかるでしょう。

この方法を使うと、廃液の2/3〜1/3くらいはリサイクル出来るため大変経済的でエコロジー!
成分変化がわからないので塗料の希釈に使用するのはお薦め出来ませんが、エアブラシ洗浄や筆洗、大量のシンナーが必要なドボン(シンナー風呂)に便利です。

今までの実験結果では、
染料系塗料であるクリアーカラーがたくさん混じった廃液は色が残りやすい。(えくざん氏による実験結果)
ソフビのドボンを行った廃液は可塑剤が溶け込んでしまうせいか、ろ過は不可能。
エアーブラシ洗浄液は『アセロラ』のような赤っぽい色が色が残る。(詳細は下記の一覧表参照)
またリサイクルを何度も繰り返すと、塗料内のシンナーが混じるためか洗浄力は落ちる。(3回目くらいから体感的にわかるようになる)
またうすめ液と比べて倍近くのとの粉を必要とするので、あまり汚れが強い廃液を再生するのは費用対効果的に疑問。
という特性が見つかっています。




再生溶剤一覧表
この再生法による各社溶剤ごとの結果を一覧表にしました。「-」の欄は現状未確認という意味です。備考欄については使用者の主観的な意見であり個人差がありますから、参考程度にお考えください。
(※リンク先:Amazon)
種類 商品名 結果 備考 画像
ラッカー系塗料用(油性アクリル塗料用) GSIクレオス Mr.うすめ液 ほぼ無色透明にろ過され、洗浄力問題なし。 
クリアー塗料が混じっていると色が残りやすくなるみたい
(情報提供:Keiさん)
Click
GSIクレオス Mr.レベリングうすめ液 エアーブラシ用にリターダーの入ったシンナー。通常のMr.うすめ液と同様の結果が得られる。また両廃液を混ぜても再生可能。 -
タミヤ ラッカー溶剤 3回以上リサイクルを繰り返したが、問題なくほぼ無色透明にろ過に成功。(情報提供:はつみさん Click
ガイアノーツ ガイアカラー薄め液 クレオス製品に比べるとわずかに色が残る。洗浄力は問題なし (情報提供:Keiさん) Click
ガイアノーツ ブラシマスター クレオスのMr.レベリングうすめ液に相当するエアーブラシ専用の希釈液。通常の薄め液と同様の結果。 -
ガイアノーツ モデレイト溶剤 - シンナー臭を香料の香りで抑えた低刺激タイプの薄め液。未実験。 -
エナメル塗料用 タミヤ エナメル溶剤 ほぼ無色透明にろ過され、洗浄力問題なし (情報提供:はつみさん -
ガイアノーツ エナメル系シンナー - 一時販売停止になっていたが、2010年からら再発売。 -
水性アクリル塗料用 GSIクレオス 水性ホビーカラーうすめ液 - - -
タミヤ アクリル溶剤 ほぼ無色透明にろ過され、洗浄力問題なし。との粉はやや多めに入れたほうが良し。(情報提供:はつみさん・Yoshidaさん) -
ガイアノーツ アクリル系溶剤 - - -
エア-ブラシ洗浄液 GSIクレオス Mrツールクリーナー改 赤っぽい色が残る。廃液に対して1/8のとの粉を投入。さらに倍ほど足しても色の度合いはあまりかわらなかった。洗浄力は問題なし。(情報提供:kwnさん Click
ガイアノーツ ツールウォッシュ クレオス製品と同じく赤っぽい色が残る。溶剤の場合より多くとの粉が要る。洗浄力は一見変わらないが、リサイクルを何度も繰り返すと少しずつ落ちる。 Click
タミヤエアーブラシクリーナー - - -
DIY塗料用シンナー サンデーペイント ラッカーうすめ液 非常にキレイに分離。
模型用シンナーより低価格(1.6Lで850円前後)で、洗浄力は体感的に模型用と同程度。機材の洗浄のみに使用。
(情報提供:NewRさん)
Click

なお同種の溶剤に関しては各メーカー共互換性がありますので恐らく同じような結果を得られるとは思いますが、なるべく情報を確実なものにするためこの表にある未確認の製品で試された方は結果をご報告していただければ嬉しいです。皆で情報を共有していきましょう。
※注意: このようなシンナーのリサイクル方法はユーザーの知恵から生まれたもので、製造メーカーが品質保証するものではありません。実行する場合は各自の責任においてお願いします。
(2003/07)
(2013/06/06 修正)





シンナー廃棄法
シンナーはろ過による再生を何度も繰り返すと性能が落ちてきますので、そうなるとついには廃棄しなければなりません。

メーカーが推奨してるのは、新聞紙やぼろ布などに吸わせて風通しの良い場所でよく乾燥させてからゴミ処分という方法です。しかし居住環境によってはそれが難しい人もいるでしょう。

そこで関西ペイントから「残塗料処理剤」という固めて捨てることの出来る製品が発売されてますので試してみました。



この製品は水性、油性、うすめ液など種類を選ばずに処理可能で、固化した塗料は可燃ゴミとして廃棄できるのがウリ。
一袋で400mlまで処理可能との事なので、ちょうどMr.カラー用うすめ液特大ボトル1本分ですね。

一時期ホビーショップによく置いてありましたが、最近はあまり見なくなったような気がします。今回はホームセンターで入手しました。



説明書によると、油性塗料・うすめ液の場合は残塗料処理剤を混ぜた後にその3倍の水を混ぜるので、400mlにつき2l程度の容器が必要と指示されており、牛乳パックの空箱2本に分けて処理してみました。



廃棄液と処理剤をよく混ぜた後、水を加えてさらによく混ぜます。



オカラ状に固まるとありましたが、なんだかゼリーみたいな感じになりました。

処理剤が足りないのかなあと思って追加してみるとひとまわり固くなりました。私の手順が間違ってなければ廃液の状態によってブレ幅があるのかもしれません。なので処理剤は余分に用意しておいたほうが良さそうです。

この状態で新聞紙にでろんと出して乾燥させ、捨てることにします。


使ってみた感想としては、食用廃油凝固剤みたいに即ゴミ箱行き可能みたいなものを期待してましたが、オカラ状に固めたままでは水分も臭いもまだ残ってますので、実際はそこからさらに自然乾燥させる時間と手間が発生します。

ただ同じ量の廃液を従来の方法で処分するのと比較すると、臭いの出方や処理作業スペースが少なくて済みますし、また実売価格も一袋160〜180円程度なので、これくらいなら次回も使ってみようかなと思いました。

思ったほどではなかったけど、使えないわけじゃないというところでしょうか。




残塗料処理剤 30G 【Amazon】


(2010/01/28加筆)


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