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続 築城指南書―城プラモを極める
12月27日に発売になった城プラモ本「続 築城指南書」のレビューです。



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去年発売された初の城プラモ専門書「続築城指南書」が好評につきの第二弾です。

前回は初の城プラモ本なので、初心者から上級者まで幅広い層をターゲットとして城プラモの基礎的な組み方、見映え良くするためのちょっとしたコツを紹介した内容でしたが、今回はより深く踏み込んだ改造例や、季節感を盛り込んだり、映画のワンシーンをジオラマ化したりと、第二弾なので趣向をやや変えてあり、また城だけでなく仏閣をも取り上げているのも特徴です。


というわけで中身の一部を抜粋して紹介。(各画像はクリックで拡大)



● 1/500 姫路城 徹底ディテールアップ&改造仕様(童友社1/500スタンダード姫路城使用)
私もまた今回参加させていただきましてコレを作りました。元は童友社の1/500スタンダード姫路城です。
可能な限りディテールを追加して全ての部品に手が入っているため、改造箇所をあげるとキリがないのでおおざっぱに言うと、
  • 観光名所としての現在の姫路城の姿に改造。
  • リサーチミス各所を修正。
  • 垂木、出桁、方杖といった軒下の梁ディテールを全部新造。
  • ベースを約1.5倍に拡張し、ほとんどの姫路城模型で省略されている南側広場と東側構造物を自作追加。
  • 省略されている各門を再現。
  • 雑木、植木、各設備を自作し、実物と同じ位置に配置。
  • 観光客のフィギュア配置。
こんな感じです。


このキットはお手頃な価格とサイズの姫路城という事で童友社の中では一番人気らしいのですが、同時に難易度もトップクラス!なんせ昭和40年代から販売されている代物なのでチャチいうえに金型疲労で部品の合いがすごく悪くて組むとスキマだらけです。そこらを補正するだけでも大変な労力が要るという難物でして、良作と言われる同社の1/380DX姫路城とえらい違い・・・作り始めてこりゃ大変な仕事を引き受けてしまったと思いました。

製作資料は担当さんからいただいた大量のクローズアップ写真と航空写真、昭和の大改装のときの精密図面、専門書、さらにはネットから漁ったさまざまな画像や映像を駆使し、可能な限り手を入れました。

その甲斐あって結果この本のメインに据えていただける事になりまして、全体の1/3を占めるほどのページ数を割いてもらい、さらには表紙も飾らせていただきました。カバーの帯に写ってるの私の指です(笑)



● 1/460 会津若松城 ダメージモデル(童友社 1/460 JOY JOY 鶴ヶ城使用)
戊辰戦争で砲撃を受けて大破開城した姿の会津若松城で、岸川靖さん作。
童友社の1/460鶴ヶ城を改造したもので、実際の古写真のイメージに合わせて作ってあります。

各部ディテールを追加したうえで着弾の穴の断面の梁を再現したり、石垣のディテールアップは「野面積み」という工法をよりそれらしく再現するためにリュターで継ぎ目を深く彫るという正攻法ではなく、観葉植物用の小石を積んで整形するという手の込んだ技法で作られています。



● 1/400 清水寺 ディテールアップ仕様(フジミ1/400 清水寺使用)
これも岸川さんの製作です。

屋根は檜皮葺寄棟造り(ひわだぶきよれんつくり)と呼ばれる独特の質感を再現し、手摺りをより細かく作り直したり、省略されている舞台の柱の数を増やして雨よけや柵を追加するなどして精密化を図ってます。樹木は秋の紅葉した状態にして絵はがきの写真を模型化したようなイメージに仕上がっています。



● 1/144 熊本城 カットモデル(GSIクレオス1/144 神瞰・熊本城使用)
敬愛する藤田幸久先生の作品。
私が去年「築城指南書」で作ったGSIクレオス1/144熊本城を、藤田先生が今回カットモデルに改造したものです。

内部構造が再現されているというこの製品の特徴をうまく生かした作例で、普通にカットしただけではなく床や石垣の断面構造を再現してリアルさを増しています。



掲載されてる作例一覧です。(掲載順)
キット名 テーマ 製作者 掲載ページ 製作記ページ
童友社
1/500 スタンダード姫路城
徹底改造(精密ディテールアップ、ベース拡張、省略箇所及び建造物追加) おまみ P004-P011
(計8ページ)
P029-P061
(計33ページ)
フジミ
1/300 犬山城
ジオラマ的表現(ディテールアップ&山ベース自作による紅葉姿再現) 岸川靖 P012-P013
(計2ページ)
P063-P073
(計11ページ)
童友社
1/350 デラックス熊本城
プチ改造(石垣、建造物のディテールアップと相違箇所の補正) 岸川靖 P014-P015
(計2ページ)
P075-P079
(計5ページ)
童友社
1/460 JOY JOY 鶴ヶ城(会津若松城)
ダメージモデル(戊辰戦争で大破した姿を再現) 岸川靖 P016-P017
(計2ページ)
P081-P089
(計9ページ)
フジミ
1/400 清水寺
ディテールアップ(舞台の足場精密化。植樹による紅葉姿再現) 岸川靖 P018-P019
(計2ページ)
P091-P095
(計5ページ)
童友社
1/200 金閣寺
雪化粧姿に改造 岸川靖 P020-P021
(計2ページ)
なし
童友社
1/350 デラックス大阪城
怪獣ジオラマ(映画「ゴジラの逆襲」のワンシーン再現) 宮脇修一 P022-P023
(計2ページ)
なし
童友社
1/175 陽明門
プチ改造(石畳、砂利面、柵等のディテールアップ&追加) 岸川靖 P024-P025
(計2ページ)
P097-P101
(計5ページ)
GSIクレオス
1/144 神瞰・熊本城
カットモデル(内部構造再現模型という特徴を応用した改造) 藤田幸久 P026-P028
(計3ページ)
P103-P109
(計7ページ)
前回の築城指南書の製作記は、「初級編」、「中級編」、「上級編」に分けての3つのみでしたが、今回はそういう分類はなくほとんどの作例に製作記が付いています。代わりに作例の数自体へは減っています。





また、城模型の見映えを良くするための改造ポイントや素材の紹介などのコラムは今回も載っています。


掲載されてるコラム一覧。
No. タイトル&内容 掲載ページ
Column 01 フジミから1/500姫路城が発売 P062
Column 02 樹木製作を考える 其ノ一 P074
Column 03 樹木製作を考える 其ノ二 P080
Column 04 地面を考える P090
Column 05 屋外撮影のススメ P096
Column 06 試行錯誤アレコレ P102
Column 07 モデラーのための城郭用語集 P110



感想
作例に参加させていただいた自分としては、今回も例によって4200円(税込)という高い値段の本なので、絶対にそれに見合った作例を用意しないとダメだ!と思い、「これ以上は無理!」というくらい自分を極限まで追い込んで必死で作りました。
他のライターさんも製作に大分時間がかかったとお聞きしており、どの作例もいわゆる「製品カタログ」と揶揄されるノーマルプラスアルファ的な作例は一つとしてない事が本書のウリかと思います。実際企画が通ってから出版されるまでの期間は前回の倍近くかかっています。

ただ他の人気ジャンルと違って城プラモの製作術はまだまだ発展途上で未開の世界であり、今回は色々挑戦しすぎたせいか工法や仕上がりに試行錯誤の域を出ない物も見受けられる事、参加ライターが少ないため同じような作風の物が多くてバラエティ豊かさに欠ける事、そして自分のパートをたくさん載せていただいて言うのも何ですが、1/500姫路城にページを割きすぎており、構成に偏りが見られる事が欠点かと思います。




続 築城指南書―城プラモを極める 【Amazon】

大型本: 112ページ
出版社: 大日本絵画


(2010/12/31)
(2016/05/03 改訂)

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