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模型用塗料は長く使用していないと、ビン内部において顔料が沈殿して溶剤と分離します。さらに時間が経つと成分のシンナーが蒸発し、最後には塗料が固まって使えなくなってしまいます。
対策として、面倒ですが数ヶ月に一度くらいはフタを開けて中身をかき混ぜてやります。またシンナーの蒸発により塗料の粘度があがっているようでしたら、溶剤を足してやれば延命できます。
これらのことは何年か前にタミヤとクレオスに質問をしたことがあり、双方とも品質に問題なしとの確認が取れています。塗料の品質保証の期間については、タミヤからは具体的な回答は得られませんでしたが、クレオスは2年程度を想定してるそうです。ただしエアブラシ濃度に薄めた物を長期保存すると、通常の状態のカラーより劣化が早いとの事でした。
溶剤を足して塗料を復活させる
溶剤を足してやれば延命できることは前記しましたが、では塗料として使えないほど劣化した状態からもリカバリー可能なのか試してみます。

事例その1
ラッカー系塗料。
分離した溶剤が蒸発してほとんど残ってなく、塗料はビンを傾けようがドロリとも流れない状態。硬さはちょうどプリンみたいな感じです。
塊をすくいとって溶剤で溶こうとしても容易に溶けないので、この状態ではもう塗料として使えません。

溶剤を塗料の3倍くらい注ぎ、そのまま一日置きます。

一日置くと塗料がいくらか溶剤を吸って柔らかくなっているので、よくかき混ぜてやります。
こんな風にドロドロしたダマになっていますが再度放置して様子見。
2日後。
ダマもなくなり完全に元に戻りました。あとは適度な粘度まで再度溶剤で薄めてやって完了。
事例その2
次はもっとひどい場合の実験です。
同じくラッカー系塗料。
溶剤は完全に蒸発し、塗料の表面には乾燥によるシワが現れてます。硬さは例えるなら羊羹でしょうか。

しかしこれも3日で完全に復活しました。
溶剤追加後1日目は粘度がペースト状態まで戻ってたので、さらに溶剤を足してしっかり攪拌し、2日寝かせればこのとおり。
実はこの塗料、一回ゴミ箱行きにしたのを拾い出してダメ元で試したのですが、捨てなくて良かったです。

事例その3
さらにいきます。水性アクリル塗料のフラットベース。
シンナー蒸発どころかヒビ割れまで入ってる状態。さすがにこれは無理な気がします。

ところが溶剤追加後、たった半日で復活。
フラットベースは元々ドロリとした粘度ですし添加剤なので、塗料とは少し勝手が違うのかもしれません。
こんな風に、劣化がかなり進んだ塗料でも案外リカバリーできるものなので、もうダメだなと思っても捨てる前に一度試してみるもの良いかと思います。
なお、現在はクレオスから「真・溶媒液」というMr.カラー専用の揮発した塗料の復活剤が発売されており、私も今はこれを愛用してます。

Mr.カラー専用 真・溶媒液 250ml T115 【Amazon】
塗料の管理
塗料の寿命を長らえるにはメーカーの担当者さんも言われてましたが、ビンの注意書きにも書いてあるとおり直射日光を避けて保存するのが一番です。ただ、塗料が劣化するまで放置してしまう原因の一つとして、数が増えてくると既に持っている色を忘れてしまって新たに買い足してしまうのもあると思います。
私は棚に塗料を保管してしますが、なるべく同色系ごとに並べて自分の持ってる色を把握しやすいようにしています。
煩雑に保管してると、どの色を持ってるのかどうしても忘れてしまいがちになりますし、また必要な色をすばやく選別するのもままなりませんので、余計な金と時間を浪費しないためにも整理しておくのはやはり大事です。
市販品では、クレオスからは『カラーストッカー GT-30』という塗料収納専用棚が発売されています。
またタミヤからも塗料スタンドが発売されてますが、こちらはクレオス製品と違って卓上の整頓と作業効率の向上を目的とした製品のようです。
(2006/11/20)
(2006/12/18改変)
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