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バンダイ 1/60 SCALE パーフェクトグレード 
RX-78-2 ガンダム 制作記
■PGガンダムの弱点

完璧と思われるPGガンダムにも弱点があります。
すでにPGを作った人なら気づいてると思いますが、それは内部骨格を持つ構造上自重が重いため、すでに既存技術のポリキャップ可動ではその姿勢をしっかりと保持出来ないことです。

ポリキャップは弾性に富んだ性質を持ってますので固定ポーズ時でも、ポリの伸縮によりわずかな遊びが生じます。
それがPGのように重量があり多くの可動軸を持つ模型となると、その個々の関節の遊び部分が蓄積され、どうしてもふらふらとした感じでしか姿勢を支持できないのです。


これだけのものを開発したバンダイには申し訳ないですが、肘、膝を中心にとにかく関節がゆるい印象をうけます。

しかし実際にはポリキャップは相当の力で締め付けられており、このポリキャップ式ポーズ保持方式の限界を感じずにはいられません。

特に全自重のかかる足首ボールジョイント部の負担は相当なもので、これが自立時のふらふら感の原因です。


さらにポリキャップの堅さが各可動部分に対して一律なため、ハッチなどの小さくて差し込み式のパーツでは、可動軸が堅すぎて開く前にその部品が外れてしまいます。逆に手足のような大きくて差込式のパーツでは、動かして遊んでると関節が外れ出します。
せっかくフル可動の機能を持っていながら、遊んでるとポロポロとパーツが外れ出すという事態になってしまい、気持ちよくアクションを楽しむことが案外出来ないのです。
外れやすい関節ワースト:1脚の付け根/脚部の重さに対して可動軸の長さが短いため外れやすい 外れやすいハッチ・ワースト1:膝の皿/開閉時にかかる力に対して接続部面積が小さ過ぎ、さらに可動軸が硬い。


現在の最新MGの陸戦用ガンダムなんかは、ネジの締め付け具合によって関節の堅さが調整できるように措置がとられてますが、それは1/100サイズだからこそ出来ることであって、1/60では破綻してしまいます。これに関してはメーカーの可動軸に対する新素材の開発を期待します。
しかし、このことどこの模型雑誌も書かないんですよねー。スポンサーの悪口は載せられませんから。



■製作のポイント

最初は内部フレームにパイピングをゴチャゴチャと施してやろうと考えていたのですが、装甲板との隙間がほとんどない上に、部品精度がμ単位で出来てるので、うかつに改造しようもんなら装甲板を装着出来なくなってしまいます。

そこで今回は改造は見送って、上記のPGの弱点をカバーする作例を中心に、キット製作のうえでのポイントを紹介したいと思います。これからPGガンダムを購入予定の方の参考になればと思います。



■システムインジェクションパーツの処理

可動ダンパーや指の部品にあたるシステムインジェクションパーツは軟質樹脂で出来ているため、パーティングラインやヒケが強くでてますので、ペーパーがけを行って面をしっかりと出してやります。
特に指のパーツはこれをするとしないとでは大きな差がでます。指は顔の次に表情を表す部分なのをお忘れなく。

それとダンパー部品は、ABS樹脂なのと摩擦部分のため、ピストンに金属色が塗れなくなっています。
そこでシリンダーの口径をピンバイスで少し大きくしてやって、ピストンにアルミテープを巻いてやりました。これをやると見た目の効果はグンとアップします。
しかし、この工作は関節がゆるくなりやすいので要注意です。特に脚の付け根がゆるくなると姿勢保持に悪影響が出ますので、パキパキと動かして遊びたい方にはお勧めできません。
肩関節 手首関節 脚付け根関節
腕、手首、足のダンパー機構部は、シリンダーにアルミテープを巻いてそれらしくした



■頭部の製作

頭部内部メカ頭部は額と目のカメラ部の発光ギミックがあります。しかし1つの発光ダイオートを兼用しているので光量がいささか不安で、特に額のカメラは十分とはいえません。

そこで、発光部の内側をアルミテープで覆ってやると光量を無駄なく使え、きれいに光ります。

なお、頭部メカパーツは左右に分割されてますので、接着して合わせ目を消したほうが仕上がりが美しくなります。



■胸部内部フレームの製作

胸部フレームフレームの中はスカスカになってますので、肩の前後の可動軸に干渉しないようにパイピングをおこなってディテールを増やしました。

また、排気ダクトのフィンは可動しますが硬いので、可動個所にグリスを塗っておくか、軸受け穴を少し広げてやればスムースに動くようになります。



■腕部の製作

肘の関節はゆるいです。組み立てた時はわかりませんが、装甲を装着して重いビームライフルを持たせると姿勢を保持するのも難しくなります。
そこで、可動軸とポリキャップの間に瞬間接着剤を流し込んで硬くします。

ハッチは逆に固くて、開けようとするとハッチごと外れてしまいます。そこで、ダンパーがモールドされてるP1・2パーツの可動軸にグリスを塗ります。
間違ってもU9のハッチを固定する四角い穴に塗ってはいけません。U9はあとではずすことをしないのならハッチに接着したほうがいいでしょう。

あと、シリンダー部品ののR2とP20も可動レール側にグリスを塗っておくとスムースに動きます。
上腕部アップ1 上腕部アップ2



■手首の製作

システムインジェクションパーツの処理の項で書いたとおり、指のパーツをきれいにペーパーがけしてエッジを出します。
それと要注意なのは手のひらのパーツP23・24は絶対にシンナーを直接つけてはいけません。指の根元の球体を支える部分が侵食されてポロポロと崩れだします。(筆者は2回もやってしまった)塗装する場合はエアブラシで薄めに塗るといいでしょう。
手首・甲部分 手のひら
指はペーパーをかけて、エッジを出したほうが美しい 手のひらの指の付け根を支える場所には、絶対にシンナーを直接つけない



■脚部の製作

脚部も腕部とおなじで、膝関節がゆるくハッチの開閉が悪いので同様の処理を施します。中でも皿にあたるC9の装甲ははずれやすいです。
あと太もも裏側や膝の横にダンパーがモールドされていますのでアルミ箔を貼って金属感を出しています。
脚部ハッチ 太もも裏側
脚部メンテナンスハッチ部分 太もも裏側部分



■コアブロックの製作

コクピットコアブロック内のコクピット部はシートがかなり奥のほうにあり、劇中のようにアムロが外からひょいと飛び乗れるような位置にありません。
本来は構造状この状態が正しいと思いますが、劇中の雰囲気を出したい場合は、シート部品G17を手前に移動するとそれらしく見えます。

あとアムロは両手を膝の上にのせたポーズになっているので、腕のモールドを削り取り、エポキシパテで左右の操縦桿を握ってるポーズに作り変えました。



■塗装

成型色はかなり透明度が低いのでそのままでもかなり発色がいいです。とはいえ、やはり塗ったほうがはるかによいのは間違いないので塗装を施しました。
内部メカは、墨入れが目立つように成型色より少し明るいグレーを吹いて、基本色は原色ではあまりにおもちゃっぽく見えるので、白はイグニシアホワイトを使い、青や赤の部分は、ほんのわずかに黒を混ぜて彩度を落とし、落ち着いた感じにしました。

次にウェザリングですが、エアブラシで全体にシャドウをいれ、茶色と黒のパステルを溶いて、全体にウォッシングをしました。装甲板の裏側には梁のモールドがきちんと入っていますので、ここにはウォッシングを強めに行い、クリアイエローを薄く塗って変色した感じを出しました。そしてエッジには各基本色より明るい色でハイライトを入れてあります。
微妙に入れたシャドウ(脚部) 微妙に入れたハイライト(腰部)


パステルは初めて使いましたが、今まで使わなかった自分がバカみたいに思えるほど良好な効果が得られました。
そしてデカールを貼った後、全体にフラットクリアを吹いて完成です。フラットクリアは全体の色調を明るくしますので、塗装はそれを見越した色を塗らなければいけません。
装甲板の裏側(肩部) パステルによるウォッシングを行った盾の裏側
塗装で注意しなければならないのは、このキットは部品どうしの精度がメチャメチャ高いので、厚く塗装してしまうとパーツの合いが狂ってしまうことです。下地にサーフェイサーを吹かないといい発色は出ませんので、塗装皮膜を厚くしないためにも、缶スプレーでなくエアブラシでの塗装が望ましいです。



■あとがき

今回PGガンダムを組んでみて驚きの連続でした。これだけの精度のものがガレキではなく、ライン生産から作り出せることが出来るとは・・・「連邦のモビルスーツは化け物か!?」の気分です。

しかし逆に考えると、プロポーションが完璧なのとあまりにギミックを詰め込んでるため、改造の余地がほとんどなくて誰が作っても同じ物が出来てしまうので、モデラーとしてはあまりにつまらない代物です。

とはいえこの精度のものが特別な技術もなしに誰でも得られるというのはやはりすごいことで、バンダイの20年間にも及ぶガンプラの技術蓄積を感じるものでした。しかしこういう企画でやるなら、内部メカを既存のアニメモデル的な表現でなく、もう少しスケールモデル的にリアルな味付けにして欲しく思いました。


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