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金ヤスリ: タミヤ クラフトヤスリPRO / GSIクレオス 匠ノ鑢 極
モデラーならおそらく誰もが持っているヤスリ。
その性能や価格はピンキリですが、そんな中でも切れ味が優れていてほとんどのホビーショップで取扱ってるタミヤとGSIクレオスの高性能ヤスリの使用レポです。
※基礎知識・ヤスリの目の粗さ順位: 鬼目>荒目>中目>細目>油目



タミヤ クラフトヤスリPRO
切れ味にこだわった高性能ヤスリシリーズでプラスチック、レジンなどの樹脂専用品。
画像に写っているのは平16mm、6mm、半丸10mm幅ですが、これ以外ににも平10mm、半丸15mm、丸6mm、3mm幅があり、私は丸タイプ以外各サイズ一通り揃えてます。
価格は1本1260円〜2100円。



ホビージャパン発行の模型製作ガイドブック「ノモ研」には「高い切削性と削り跡の滑らかさが特徴。仕上がりはペーパーがけがいらない程だ」と紹介されており、ホンマかいな?と半信半疑で買ったのですが、実際に使ってみると偽りなしの高性能に感動しました。

特に平16mmはそのずっしりした重さと幅広さもあって切削感が安定しており、部品の面出しと角出しに抜群の威力を発揮する絶品です。

目詰まりも起こりにくく、プラはもちろんポリパテを削っても大丈夫。歯ブラシでこすれば簡単に落ちます。



平タイプの目並。
単目に交差する溝の入った「マルチカット」と呼ばれるタイプでこの斜め溝が削りクズを排出して目詰まりを起きにくくしてるのだとか。粗さは細目で裏表両面に目が入っていますが側面にはなし。
まるでカンナをかけてるようなすばらしい切れ味で、初めて使ったとき「ヤスリって値段によってこんなに違うのか!」と驚きました。切削面の滑らかさは500〜600番ペーパーのレベル。



半丸タイプの目並もマルチカット。
曲面処理用なので使用頻度は平タイプほどじゃないけど、これもまた良く削れます。切削面の滑らかさは平タイプと同格。



このタミヤクラフトヤスリPROは私が初めて使った高性能ヤスリで、あんまり使い心地が良いので、値段が高いにもかかわらずその後ほとんど全種買い揃えてしまいました。その性能にすっかり惚れ込んでいます。

しかしそんなこの製品にも欠点がひとつ。それはサビやすいこと。
使用後は削りカスをマメに落としたりと手入れを怠らず大切にしているのですが、それでもしばらく使わないとわりとあっさりサビがきます。
ヤスリなのでワイヤーブラシで磨いたり機械油を塗布するわけにもいかず、なんとかならんもんかなあと思います。
  
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GSIクレオス 匠ノ鑢 極 真打
つい先月(2010年12月下旬)にクレオスから新発売になったばかりの高性能ヤスリシリーズ。プラスチック、レジン専用品。

「真打」モデルは鉄表面をメッキで特殊加工して刃の硬度を上げおり、切削性、耐久度、目詰まりのしにくさが向上していてサビも発生しにくくなっているそうで、その辺タミヤ製品の欠点を克服してるのではないかと期待しています。
「真打」は、
  • 平(両小刃仕様) 価格2310円
  • 丸(直径3.2mm) 価格2100円
の二種類。
「平」は寸法が幅10mm厚さ2mmほどで、ちょうどタミヤクラフトヤスリPROの10mm、「丸」は同3mmとのの競合製品になります。銀メッキ加工してあるので既存のヤスリより見た目がキレイ。



「平」の目並。
菱形に交差している「複目」と呼ばれるタイプで、両小刃(側面にも目入れ)になっています。粗さは中目。
切削性はタミヤクラフトヤスリPROよりさらに上!思わず「うおー何やコレ!」と叫んでしまいました。そりゃもう気持ち良いくらいサクサクよく削れます。ただ複目ヤスリの特徴で、切削面には目の跡が若干残ります。

目詰まりも起こりにくく、クラフトヤスリPROが溝から削りクズを排出してるのに対して、コイツは削りクズをはじくような感じです。



「丸」の目並。
タミヤクラフトヤスリPROの「丸」がストレートの棒形状に対してこの製品は先端にややテーパーが付いており、断面は真円ではなく八角形の角が緩く付いてました。これは曲面をまっすぐに削る事に加えて穴に差し込んでグリグリ回しながら削るケースも考慮しての事かと思います。
粗さは中目で切削性はメチャクチャ良いです。切削面はタミヤ製よりやや粗め。
  
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GSIクレオス 匠ノ鑢 極 玄人シリーズ
「真打」と同時に発売された新製品で、「玄人」は精密細工用。
一般的なヤスリ形状である「平」・「丸」・「半丸」・「三角」・「角」をあえて外し、金冠細工師や金型職人などの細かい仕上げをする職人が好んで使うヤスリ形状をしているのが特徴。

これはクレオスが模型用ヤスリに関しては後発なので、競合他社にないタイプのもので性能もよいものにするという考えがあったと中の人から直接聞きしました。後出しジャンケンするからには絶対に勝てるものをとの自信作だそうです。
上から、
  • 刀刃 価格945円
  • 先細背取 価格945円
  • 薄平(0.5mm厚) 価格1470円
の三種類。

目の粗さはカタログでは「精密目」となっていますが実質「油目」だと思います。なんでも目並は表面に傷が残りにくい新形状を採用したと聞いてます。


刀刃はその名のとおり断面がV字形で両面に刃が付いていて、ノコギリの刃を研ぐ目立てヤスリのような形状になってます。
レジンのフィギュア素材の髪の毛の部分などような箇所の加工に向いており、またその細い面でスジを彫ることも可能。円柱系のもの線をけがくのが難しい場合、刃の部分を当て対象を回転させることでガイドを引くこともできます。




先細背取は、刀刃と同じパターンの目が付いてるけど片面のみ。両面ヤスリにせず背を三角形にすることで指を置いてやする際にしなりにくく、形状が安定することで不必要な部分を削ってしまう心配も出にくくなっているそうな。先端が細くなっているので細かいところの加工向き。

薄平は、板厚がわずか0.5mmという薄さで、他二点とは異なる目が両面に入っています。薄さを生かして狭い隙間部分の整形に役立つタイプ。



また薄平はご覧のように結構しなります。これは何か意図があるのかとクレオスの中の人に質問したところ、理由として硬度を他のヤスリのようにすると、その薄さから折損の確立が上がってしまう事、そして長持ちさせる点ではしなやかさが必要となるとのヤスリ屋さんの意見を取り入れているそうです。

また、しなることで入れすぎた力を拡散(逃がす)効果もあるので、少しだけ削りたいときにはそのしなやかさがうまく作用してくれるとの説明でした。


玄人モデルの使用感としてはやはり値段相応で、明らかに普及価格品より一段上の切れ味と切削面の滑らかさを持ってます。ただ目が細かい分だけ目詰まりはしやすいので、手入れはマメにする必要があると思いました。
   
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おまけ: BUNSEIDO プロ使用最高級ヤスリ
模型用ヤスリとして一般的な形状である「平」・「丸」・「半丸」・「三角」・「角」に関しては、私はBUNSEIDO(上野文盛堂)の「超極細プロ使用ヤスリ」シリーズを私は使っています。用途は彫金細工、歯科技巧などとなってます。
価格は1本1000円(税抜)と高価ですが、近所の家電店の在庫処分セールで半額で投売りされているのを見つけて買い揃えました。



性能はクレオスの玄人シリーズと良い勝負で文句なし。まあこの値段で粗悪品だったら詐欺ですけどね。(笑)

上野文盛堂は筆もそうですが、価格はそれなりにする代わりに性能の良いものばかり取り揃えていて、自分が今までに買ったここの製品はハズレなしです。
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感想
プラモデル製作におけるヤスリなんてものは安物でも事足りると言えば足りまして、私も2〜3年前まではミネシマのH-14クラフトヤスリ5本組みやタミヤのベーシックヤスリセット、果ては100均店のものといった廉価品ばかり使っていました。道具にはわりと無頓着なほうで、特にヤスリなんか消耗品だから使い捨てれば良いくらいの気持ちだったのです。

でも道具の性能はやはり値段と比例していまして、今回紹介した価格帯のヤスリを使い出すと、もう安物のなまくらヤスリには戻れないのが本心です。実際私はタミヤのクラフトヤスリPROを何度か買い替えていてリピーターになっています。
やはり「使える」と「使いやすい」は別物でして、良い作品を作り上げるには良い道具が必須とまでは言いませんが、良い道具を使ったほうが効率的でより近道なのは間違いないと痛感しました。(そしてその性能が長持ちするように日頃から手入れを怠らないことも大事)

金ヤスリはマニアックなメーカーで国内品では北岡ヤスリや岩崎ヤスリ、外国勢ではバローベ、ニコルソンなどが優秀と口コミで聞きますが、どこの模型店でも扱っているタミヤとクレオスからもこれらに引けをとらない性能のものが出ているのはありがたい事だと思いました。

初心者はちょっと躊躇する価格ですけど、ひとつ上の領域を体感したいと思っている人は、いっぺん使ってみると目からウロコですよ。

(2011/01/29)

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