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GSIクレオス メッキシルバー NEXT
新発売のメッキ調塗料「メッキシルバー NEXT」。
製造終了になり多くのモデラーに惜しまれたメッキ調塗料のメッキシルバーが、材質を変えてつい先日復活となりました。
私も早速手に入れまして、どんなものかその性能を確かめてみました。


前回のメッキシルバーはうすめ液が一緒にセットされていましたが、今回のNEXTは塗料単品で、最初からエアブラシ用に希釈された状態になっています。薄める場合は水性ホビーカラー用薄め液で20%を限度に希釈するように指示されています。

また水性塗料用シンナーで希釈できるからといって水性塗料ではなく、そしてラッカー系にも属さない塗料であるとの事です。



競合他社製品
メッキシルバーNEXTがどれくらいの性能なのかわかりやすくするため、他社のメッキ調塗料と比較してみます。
用意したのはアルクラッドII ALC-107 クローム(左)と、Spatz Stix アルティメイト ミラークローム(右)。

共に抜群のメッキ調性能を誇りますが、外国製塗料なので安定供給されておらず、発売している店舗も少なくて手に入れにくいのが短所。
ゆえに国産で安定供給が見込めるクレオスのメッキシルバーNEXTには大きな期待が寄せられているのです。

これら両製品は国産塗料にはない特徴がボトルにありまして、アルクラッドIIは5年品質を保持できる密閉性を持っており、ミラークロームは押しながら回さないと開かないという安全性の高いキャップを採用しています。また攪拌しやすいように中に金属玉が入っています。

メッキシルバーNEXTと同じく、最初からエアブラシ塗装にちょうど良い濃度に希釈されています。


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塗装方法
メッキ調塗料の塗装方法は皆共通しており、まずは下地に黒光沢を塗ります。この下地の平滑具合でメッキの輝き具合が変わってくるので、極力ピカピカにしてやることで深みのある鏡面を表現出来ます。

そしてその上にエアブラシでカラーを吹き付けるのですが、それにはコツがあって、一度に厚塗りするのではなく、エア圧と塗料の吐出量を絞って表面に塗料粉をフワッと乗せるように極力薄く吹いていくと、メッキ色になっていきます。

エア圧はメッキシルバーNEXTで0.03Mpa〜0.05MPa、ミラークロームで0.1Mpa〜0.14Mpa、アルクラッドIIは0.84kgf/cm2〜1.05kgf/cm2と指定されています。

またアルクラッドIIだけは黒下地にエナメル塗料を指定しており、そのためタミヤエナメルカラーのX-1ブラックを使用しました。他の2種はラッカー系塗料の黒の中でも評判の良いガイアカラーのEX.ブラックを使っています。(クレオスは当然ながら自社製品の“GXカラー ウイノーブラック”を推奨)




各製品鏡面度比較
写り込み具合をわかりやすくするために、塗装したカラーマグネットのそばにタミヤのポリパテの箱を置きました。
鏡面具合は各製品ともほぼ同性能で甲乙つけ難し!抜群のメッキ感です。
そこをあえて順位をつけるとしたら、

ミラークローム ≧ メッキシルバーNEXT ≧ アルクラッドII

かな?

とにかくいかに下地を平滑にして薄く均等に塗料を乗せるかが美しい鏡面を生み出すキモでして、この三者は塗り方ひとつで順位が簡単に入れ替わるくらい性能が近接しています。

実際、今回接写拡大して初めて気付きましたが、画像のアルクラッドIIは吹き付け量がやや多くて白くかぶりがち。逆にメッキシルバーNEXTは塗料が完全に乗りきっておらず、少し黒点がまだらになって残っています。
もちろんこれらは肉眼ではほとんど見分けが付かず、シャッフルしたらどれがどれかわからなくなる程度の差です。

塗装のしやすさでは、エア圧を一番高く使えるミラークロームが勝ります。メッキシルバーNEXTは0.05Mpa以下に絞らなければいけないのでノズルが詰まりやすいですね。(エアブラシはPS-264、コンプレッサーはリニアコンプレッサーL7使用) なのでこの塗料にはエアアップ機構とセミイージーソフトボタンを搭載して吹き始めがスムーズで塗料詰まりのしにくいクレオスのPS-289が相性良さそうです。


・ GSIクレオス PS289 プロコンBOY WA プラチナ0.3 Ver.2 【あみあみ】
・ PS289 プロコンBOY WA プラチナ0.3 Ver.2を買った 【模型の花道のブログ 2010-02-02】




耐久度比較
メッキ調塗料の弱点のひとつに塗膜の弱さが挙げられます。そこで耐久度実験。
アルクラッドII、ミラークローム、メッキシルバーNEXTそれぞれの表面を、ティッシュペーパーで強めに100回こすってみました。
アルクラッドIIは表面が荒れて全体的に曇ってしまい、箔がやぶけるように真ん中が剥げ落ちて下地が出てしまいました。
ミラークロームは光沢感は変わりませんが、メッキ層が薄くなってやはり下地が出てきました。
メッキシルバーは全くなんともなし。塗料の食い付きは他のラッカー系塗料と大差ないように思われます。

よって塗膜の耐久度は、

メッキシルバーNEXT > ミラークローム > アルクラッドII

の順となりました。




クリアーコート
さて、メッキ調塗料のもうひとつの難点は、クリアコートすると輝きが落ちて普通のシルバーになってしまう事。
メタリック塗料は酸化しやすいので経年変化で曇ってしまうのを防ぎたかったり、デカールの劣化を防ぐ、金メッキなど他の色のメッキを再現したいなどの理由でクリアーカラーをコートしたい場合もあるでしょう。

しかし今回のメッキシルバーNEXTも例外ではなく、注意書きに「塗装した上からクリアー塗料を塗装すると、光沢を損ないます。」と一筆入っています。
ただ「ラッカー系クリアーはデカールの上から塗装できません。」みたいに、実際は力技で可能だけど誰にでも確実にできない以上はメーカーの立場上無理と言わざるを得ない例もあるので、実際に試してみました。
カラーマグネットの左半分がクリアーコートした部分です。
まずは一番無難なラッカー系から実験。これもまた評判の良いガイアカラー EX.クリアーを使いました。
極力メッキの塗面を侵食しないように薄吹きを何度も重ねて慎重に行いましたが、結果はご覧のとおりメッキ感が完全に落ち、スターブライトシルバーに近いギラギラした金属的なシルバーになりました。

ならばラッカー系塗料を侵食しない水性アクリル系でと、クレオスの水性ホビーカラー H30 クリアーでコート。
今度はメッキ感は残ってるけど、やや曇った鏡面に変化。

最後に同じく下地を侵食せず、なお光沢の強いウレタンクリアーでコートしました。精密屋ウレタンクリアー使用。
やはり曇りましたが水性クリアーよりは澄んだ質感。

個人的な見解ですが、水性とウレタンでのクリアーコートはまだなんとか使用に耐えるかな?という感じです。


ちなみにミラークロームは、「アルティメイト クリアーコート for ミラークローム」という専用クリアーがありまして、これをミラークロームにコートした物と、先程のメッキシルバーNEXTにウレタンクリアーをコートした物を比較してみました。
写真では両方とも変わらないように見えますが、実際はミラークロームのほうがわずかに勝っています。とはいってもやっぱりいくらかは曇るので完全鏡面保持とまではいきません。


以前ミラークロームにも色々なクリアーをコートした画像があったので載せておきます。
メッキシルバーNEXTとは逆に、最も曇ったのがウレタンクリアーでした。不思議。




クレオスのサンプル画像
先日のブログにも載せましたが、ツイッターでクレオスが公開したサンプル画像を載せておきます。応用塗装の参考になると思います。

http://twitpic.com/5ozb41

http://twitpic.com/5pbdgk



http://twitpic.com/5pg6o4

http://twitpic.com/5qi6xp




感想
メッキシルバーNEXTは買いです!
って私が言うまでもなく大好評のようでして、初動が良くて発売から一週間経った現在ですでに品薄になりつつあります。一通り行き渡るようになれば次回からは安定供給されると思うのですが・・・

とにかくメッキ再現力もさることながら塗膜の強さに驚きました。これなら触っているうちに色が剥げてきたとかのトラブルもかなり減るのではないでしょうか。クリアコートもウレタンクリアーを使えば酷く曇ることもありません。

GXカラーボトルサイズで希釈済みなのに定価900円は高い!と感じるでしょうが、実際はかなり薄く吹くので塗料をほとんど消費しません。普通のMr.カラーは正味量10mlで塗り面積0.11u、メッキシルバーNEXTは正味量18mlで塗り面積0.2uなのでほぼ同じなのです。

せっかく復活したのだから今回は旧メッキシルバーみたいに諸事情で生産終了にならないようにしてもらいたいですね。続いて手軽に使えるガンダムマーカー版メッキシルバーもぜひ復活させていただきたいものです。


(2011/07/23)


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