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吹流しというのはメインマストに掲揚されている風見用の円錐形布筒のことです。

画像はいずれも空母瑞鶴
戦闘中の軍艦のマストには軍艦旗や将官旗、信号旗など色々な旗が掲揚されているのですが、模型の場合はなぜか軍艦旗のみというシンプルな作例が大多数を占めていて、ましてや製作の難しさもあって吹流しのような細かいアクセサリーを1/700で再現してる模型はほとんど見ません。
でも私はマストには色々な旗を掲げるのが好みでして、前から吹流しも再現してみたいと思っていました。
実際に吹流しを再現した1/700艦船模型の一つに吃水線の会の大木清太郎氏の作品があります。氏は素材にサランラップを使ったと何年か前の月刊モデルグラフィクス誌上で語られていまして、その柔軟な発想に当時関心したものでした。
でもいざ作るとなると、ラップでは一撃でクシャッとなってしまいそうで強度が少々不安です。そこで色々な素材による試行錯誤の末、一応私なりの製作法を確立できましたので公表します。
吹流しの作り方・手順

素材にはクリアテープもしくはセロテープを使います。(左画像はクリアテープ)
クリアテープはセロテープより透明度が高く経年劣化に強いので、古くなっても黄ばんだり糊がべたつきにくいのが長所。
対してセロテープはクリアテープより薄いぶん柔らかいので吹流しの形に巻きやすいし、より『薄さ』を再現できます。
切ったテープをつまようじの先に巻きます。
この巻くときの角度で吹流しのテーパーを調整できます。またテーパーを付けて巻いてもテープがつまようじに対して常に垂直になるように、あらかじめテープに角度を付けてカットしておきます。
(らせん状にねじれてしまったのではキレイな吹流しになりません。)

テープは巻き重ねるとせっかくの薄さが台無しになるので、閉じしろの重ね幅は必要最低限にします。かといってあまりギリギリにすると、あとで糊がテープのコシに負けて閉じ口が開いてしまうのでほどほどに。
閉じ口を斜めにカットしてしまうと、どの方向から見ても目立ってしまいます。注意してまっすぐにカット。

アートナイフの刃先でつまようじを転がすようにして適度な長さで切れ目を入れます。
つまようじの先からテープを引っこ抜くと、見事円錐形の筒の出来上がり。
つまようじは金属針などと比べて表面が凸凹してますのでテープが密着しにくいため極力痛めずに抜き取ることが出来ます。
塗装します。
赤は透けますから、
赤 → 白 → 帯部分をマスキング → 赤
という順番で重ね吹きを行いました。 さらにスーパークリアのつや消しを吹いて、テープの質感を消してやります。

最後に紐を取り付けます。
0.1mm真鋳線を使いました。素材がテープだから軽いので、代わりに釣り糸なんかでも十分支えられると思われます。(でもさすがに本当の糸では無理だぞ)
こんな風にマストのロープに接着して完成!このとき吹流しの閉じ口は必ず下にして目立たないようにします。なかなかいい感じでしょ。(^^)
粘着テープ製なので、うっかり内側同士をくっつけてしまわないだろうかと思う人もいるでしょうが、つまようじに巻いたことで糊が弱くなってますのでさほど心配いりません。さらにこの大きさで強引に曲げてますからそれなりにコシが出て、よほど強くつかまない限り強度的にも問題ありません。
なお、今回作ったのは1/700用ですが、1/500や1/350など大スケール用の物も同じ方法で作ることが出来ます。
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