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いつも当サイトをご覧になっていただいてるPhantomさんから、汎用エッチングパーツを利用した係船孔の制作方法をいただきました。
良いアイデアでしたので、ご本人からの許可をいただきここに掲載させていただきます。
■Phantomさんより
日本の護衛艦など現用艦の係船孔は、大戦艦艇のフェアリーダーと比べて数がずっと多いです。
これは係船の方法の違いによるものだと思うのですが、3000tクラスの汎用艦でも艦首・艦尾部を中心に十数個の係船孔が装着されています。
ピットロードのディテールアップセットには10個程度しか入っておらず、これだけの数を形状にばらつき無くプラ板で工作するのも私には至難の業です。
※閲覧者の方から教えていただきましたが、甲板上に配置されている上面が閉じた形状の係船孔の正式名称は「パナマチョック」というのだそうです
■真鍮帯金を使用した係船孔の制作法
そこで今回はエッチングパーツを利用した方法を試してみました。
使用する製品は、ファインモールド製汎用アクセサリー AG-06「真鍮帯金015丸穴(幅狭)」です。
実際の係船孔は楕円形なのですが、長穴タイプの真鍮帯金を使うと全体の形状が扁平になり過ぎるので今回はこちらを使用しています。
この素材の利点として、
- 真鍮の持つ強度
- 切削性の良さ
- それぞれの孔の高さが揃う
- デッキとの接点が直線になるので接着等の処理が容易
以上が挙げられると思います。
●切り出し
使用するのは口径1.25mm穴の帯金。
これをエッチング鋏で一個毎やや台形ぎみに切断します。
1.25×700=875で少々大きすぎる気がしますが、自分の不器用度を算入してこのサイズにしました。
切断する際に反りがでてしまうので、毛抜きで噛んで平らに修正します。
●カット
切り出した板をピンセットでつまんでエッチング鋏でカットしていきます。
使っているのはトライツールの鋏ですが、意外に細かい切断もできて大助かりでした。
●切削済み
更にサンドペーパーで微妙な形状出しを行った状態です。
しっかり挟んで作業できるようにピンセットではなく毛抜きを使用しました。
●仕上げ
表面を磨きこんで仕上げ。この様にピンセットを孔に差し込んだ上に爪で押えて磨きました。
■取り付け見本
1/700護衛艦せとゆきです。
パナマチョックは厚みを出すために二枚重ねで、デッキに植え込んだ真鍮線を挟み込む形で接着してあります。
ただし、手すりパーツの取り付け前にチョックの取り付けをやってしまったため、ご覧の通り手すりとの間に一部隙間ができてしまいました。
次回からは手すりの取り付けと並行して行う事にします。


●艦首付近
実艦の錨鎖甲板付近の手すりは金属棒らしいので、材料のやりくりもあって適当な位置から他の部分とは異なったエッチングパーツを使用しています。
●ヘリコプターデッキ付近
手すり背後の支柱や舷梯の位置関係で結構きわどい取り付けをしています。一部手すりの横棒(実物はチェーン)が欠損してますが、これは愛嬌ということで(汗)
実艦ではこういう場合パナマチョックの側面にUボルト状のリング等を溶接して、そこからチェーンを取っている様です。
■おまけ
●試作品
丸孔で工作する前に AG08 真鍮帯金015 長穴(幅狭)【Joshin Web】を加工してフェアリーダーを試作してみました。
妙に反ってるのは開口部をカッターで押し切ったからです(汗)。この後曲げ戻しとペーパー修正を行ってあります。
●陽炎との対比
まだ作ってた陽炎と対比させてみました。ピントがピンセットの方に行っちゃってますが(汗)。
陽炎型にはこの位置に艦首のものより一回り小さいフェアリーダーがあるようです。
このサイズなら駆逐艦以下の小艦艇のものにも応用できるかも…
(2004/05)
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