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艦艇模型の木甲板の表現には不満を持っている方も多いと思います。強烈な凸モールドであったり、中には木甲板の表現自体がされていないキットもあったり・・・私もその一人です。
それを何とかしようと思えば自分でモールドをけがき直すしか方法はないようです。でもどのようにしたらうまく木甲板をけがく事が出来るのでしょう?
よく模型雑誌の製作記事に「木甲板をカッターでけがき直した。」とサラッと書いてありますが、1ミリ間隔もしくはそれ以下の線を均等幅にそれも無数にけがくなんて素人に出来よう筈がありません!
しかし金がかからずいい方法を思いついたので紹介いたしましょう。
■スクリーントーンの使用
要は下書き線があればその上をナイフでなぞるだけでいい。だが鉛筆などでそんな精密な線を引くなんてまず不可能!
そこで、その下書き線に筆者はスクリーントーンを使いました。漫画のハーフトーンの表現に使われているフイルム状のアレで、文具店や画材店で手に入ります。私はデリータースクリーン SE-197【ゆめ画材】を使用。42.5L/10% 1mm幅のストライプパターン。一枚で空母3〜4隻分あります。
■作業工程(例:空母加賀)
●下準備
飛行甲板上のモールドは一切削り落としてペーパーがけを施してヒケを取り除いておきます。
次にサーフェイサーを吹いて表面処理をチェックし、木甲板以外のパネルラインをアートナイフでけがいておきます。
●スクリーントーンを貼る
甲板に対してトーンの目が真っ直ぐになるようにスクリーントーンを貼り付けます。
先に甲板の中心線を鉛筆で書き込んでおくと真っ直ぐに貼りやすいです。
歪ませて貼ると後で取り返しのつかない事になるので慎重に!
●余分なトーンを切り取る
間違って他の場所をけがいてしまわないように、木甲板以外の部分のスクリーントーンは切り取っておきます。
スクリーントーンは弱粘性のため、彫りこんでる最中にトーンがずれないようにしっかりと貼りましょう。
●ラインを彫る
定規を当ててトーンのラインの上をけがいていきます。
このとき注意しなければならないのは、木目を1枚けがくごとにその切られたトーンをはがすことです。
そうでないと、けがき個所が増えてくるとどの場所をけがいたのか解らなくなってしまうからです。
●ささくれ取り
けがいた後は溝の両端がささくれ立っているので、アートナイフの刃をねかせて丁寧に殺ぎ落とします。
コツは力をいれず表面をなぞるようにすることです。カンナをかけるような感じですね。
せっかくキレイに処理した甲板表面を傷つけないように注意!
●仕上げ
最後に水をつけた耐水ペーパーを軽くかけて表面をならします。
水をつけないと、せっかくけがいた溝がプラの粉で埋まってしまうので要注意。
間違ってけがいた所は、溶きパテを盛って乾いた後にペーパーがけを行います。
再度薄くサーフェイサーを吹いて出来あがりです。
■溝彫りのコツ
アートナイフは細いラインを彫ることが出来るのですが、逆にせっかく彫ったラインも簡単に埋まってしまいがちです。
そこで一度けがいた後に、今度は刃の背で溝をもう一度なぞる様にけがくと、しっかりした溝が出来上がります(ただし力を入れすぎると溝がガタガタになるので注意)。もしくはケガキ針でトレースすると良いでしょう。
また、たくさんの溝を彫る事によりパーツ表面の幅が少し広がるので、裏側との幅の差が出来てカマボコ状に沿ってしまう事があります。
この時は裏側も適当に何本か溝を適当に彫ってやれば直りますし、せっかく彫った凹モールドも埋まりにくくなります。
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