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クリアパーツの接着法を考える



プラモデルなど模型の組立には通常プラスチック用接着剤と瞬間接着剤の2種類がよく使われます。ただしこれらの接着剤は、クリアパーツの接着に限ると最適とは言いにくい性格を持ち合わせています。
TAMIYA 【資材・工具】タミヤセメント (角)まずプラスチック用接着剤。

これは他の接着剤のようにそれ自体の硬化によって接着するのではなく、プラスチック表面を溶かして互いを融合させる仕組みになっています。だから一番強度が出るのですが、クリアパーツでは溶解によって濁った接着面が透けて見えてしまいますので、正直見映えがあまりよろしくありません。


コニシ アロンアルファ 一般用 /#30115 次に瞬間接着剤。

これを使って接着すると、「白化現象」といって白い粉を吹いたように接着面周辺が曇ることがあります。
原因ははみ出した接着剤の化学変化によるもので、普通のパーツなら上から塗装すれば白化を隠ぺい出来ますが、クリアパーツの場合はそうもいきません。
無白化・低白化の製品も存在しますが、それについてはほど解説します。



私は、クリアパーツの接着にはいつもエポキシ系接着剤を愛用してます。




エポキシ系接着剤
ウェーブ 瞬間エポキシ接着剤エポキシ系接着剤とは、ジェル状の二剤を混合させて化学変化により硬化するタイプの樹脂系接着剤です。色は無色透明。
そのためプラスチック表面を溶かさずに接着でき、肉ヤセがほとんどないのでパテのように充填という使い方も可能です。接着力は強力で、レジンや金属などプラスチック以外にも使える素材の幅が広いのでとても便利。すんげー臭いけど。


で、実際の使用例なんですが・・・


プラスチック用接着剤を使用 エポキシ系接着剤を使用
接着面が溶解融合して白く濁ってます。 無色透明なので仕上がりがキレイです。


これくらい違います。


またエポキシ系接着剤はプラスチックを侵食しないので、うっかりパーツ表面を汚してしまってもちょっとくらいなら硬化後に爪楊枝の先なんかでコリコリ擦れば接着剤をはがす事が出来るのも美点。私はこれに今までかなり助けられています。




Gクリヤーとプロユース接着剤クリア
ただしエポキシ系接着剤にも欠点があります。それは毎回使うたびに、いちいちプラ板などのパレットに二剤をチューブからひねり出して混ぜ合わせなければならないので、扱いがとっても面倒くさいんです。

で、その面倒さがないのが「Gクリヤー」という合成ゴム系接着剤と、モデラーズの「プロユース接着剤クリア」という塩化ビニール樹脂系接着剤。

両製品ともジェルタイプの無色透明でプラスチック表面を侵食せず、チューブから出してそのまま使えるのでお手軽。さらにプロユース接着剤クリアは模型専用なので、細かい部品向けに先が細いノズルになっています。
コニシ Gクリヤー
【プロ工具ショップ KanamonoYaSan KYS】
プロユース接着剤クリア
【遊びクリエイション】


ところがそんな両者もやはり万能ではなく欠点があります。とにかく液のキレが悪くてまるで納豆みたいに糸を引く。だから接着剤の塗り方をコントロールしにくいんですよ。注意しないとこれが原因でパーツを汚してしまうこともしばしば。
Gクリヤー プロユース接着剤「クリア」


私はこれに耐えられずキーッとなっちゃいますので、多少面倒でも所定の場所に適量をきちんと付けやすいエポキシ系接着剤を愛用しています。(接着力も段違いだし) でも世間の利用者の割合は、どうやらGクリアーのほうが多いみたいですね。プロユース接着剤クリアはモデラーズブランドということで、流通が不安定なのがネックです。




低白化・無白化タイプの瞬間接着剤
前記のとおり瞬間接着剤はパーツを白く濁らせるのでクリアパーツ接着には向かないのですが、低白化や無白化タイプの製品が存在します。私は実際に使ったことないのでどの程度の効力があるのかわかりませんが、ネット上で調べると色々出てくるのですが、特殊なタイプなので業務用が多いみたいです。一般向け製品も種類は少ないけど見けました。
また瞬間接着剤は、硬化促進剤を併用すると白化しにくくなります。これは私も実践しましたが、確かに白化現象は起こりませんでした。どのメーカーの製品でも同じ効果があるのかまではわかりませんが、白化防止をアピールしている製品はいくつか存在します。
低白化・無白化タイプ瞬間接着剤 硬化促進剤(白化防止の記述あり)
ウェーブ 接着剤 瞬間接着剤 X3S【ホビースト】 アルテコ スプレープライマー 【鈑金工具のお店】
ロックタイト 瞬間接着剤460【OSショップ Yahoo!店】 大原商事 白化防止&硬化促進剤 【ナチュラム】
ただし瞬間接着剤はご存知のとおり超強力なので、やり直しの利かない一発勝負になりますのから、それなりにリスキーです。




Gクリヤーを液体接着剤にする
エポキシ系接着剤やGクリヤーはいずれもジェルタイプなので、例えばカーモデルのライトカバーや飛行機モデルのキャノピーのようにパーツ断面に接着剤を塗布して貼り付ける場合、はみ出しやすくてパーツを汚してしまいがちです。もちろん前記どおりリカバリーすることは可能ですが、最初から汚れにくいに越したことありません。

プラスチック用みたいに液体接着剤があればいいのになあと普段から思っていると、ファインモールド社のエッチングパーツの説明書にこういう記述を見つけました。


なるほどGクリヤーはラッカーシンナーに溶かすことが出来ると。



この件でファインモールドさんにお聞きしたところ、このラッカーシンナーとは模型用溶剤ではなく、建材一般塗料用の強力なシンナーの事であるとのご解答いただきました。
しかしそれではプラスチックを溶かしてしまうから仕上がりがやはり汚くなるので使えません。(模型用溶剤でも塗料が溶けてしまうから同じ事なんだけど・・・)

それならエナメル塗料用もしくは水性アクリル塗料用シンナーでGクリヤーが溶ければ万事解決ということです。(ただし塗装されたパーツの塗料がラッカー系塗料であることが前提)


というわけで実験開始!


まずは万年皿にGクリヤーをぶちゅっと出します。
次にスポイトでエナメル塗料用シンナーを注いで混ぜてみると・・・




ご覧のように見事溶けました!

おまけに液状になったために糸も引かなくなりましたので、これは使いやすいかも。



試しに流し込み接着剤として使ってみました。

薄めたとはいえ、接着剤自体に粘度がありますので、毛細管現象による吸い込みは弱いです。本当の流し込み接着剤のように使うのはちょっと無理あるかも。

流し込みにくいから汚れないように隙間のキワをマスキングテープで覆って、どちらかといえば隙間に塗り込むという感じになりました。




そのまま放って置くとマスキングテープまで一緒に固まってしまいますから、接着剤を流し込んだらさっさと外します。
エナメル塗料用シンナーなので乾燥には多少時間がかかりましたが、わりとキレイに接着することが出来ました。


実験終了。


感想としては、あくまで薄められた接着剤のため本来の接着力より落ちますので、糸が引かない程度にややドロリとしたくらいの濃さで使うのが良さげ。だから流し込みタイプとしてでなく普通の液体接着剤的な用途で使うのが良いかと。

水性アクリル塗料用シンナーでも試してみましたが、こっちは混ざらずに失敗しました。
※追記
閲覧者様からの情報によると、
  • シンナーの蒸発により、パーツ同士の合いや接着剤の薄め具合など、状況にによっては硬化後に気泡や接着ムラが出る事があるようです。
  • エナメルシンナーはジッポーライター用オイルでも溶かすことができるそうです。
  • さらにエポキシ系接着剤もメタノールで溶かすことができるそうです。(メタノールは薬局で手に入ります)
貴重な情報ありがとうございました。




エナメル塗料のクリヤーを接着剤として代用してみる
エナメル塗料のクリヤーを隙間に流し込んでクリアパーツを接着するという話を、以前どこかで聞いたことあります。確かにそれならラッカー塗料で塗られた塗面に侵食しませんし、乾燥後は無色透明。しかもはみ出したりして失敗しても簡単に拭き取れます。

固まって開きにくくなった塗料ビンのフタの固さを考えると「これは案外イケるのでは」と思い、試してみました。



というわけでまた実験開始!

流し込み式接着剤ほどじゃありませんが、溶いたGクリヤーと比べると流し込みやすいです。
で、結論を言うと、

ちょっと微妙。

接着は出来るけど頑丈とは言いがたい。
Gクリヤーやエポキシ系接着剤で最低限の点付けを行ってその補強として併用するとか、小さなパーツに使うなら問題ないかと思われます。


以上色々試してみました。

キットの組立説明図などにはクリアパーツの接着法に、「指定の位置にパーツをハメ込み、流し込みタイプの接着剤を少量流して固定します。」などと書かれてることがありますが、よりキレイな仕上がりを目指すなら、ご覧のようにパーツによって接着剤を上手く使い分けるのもひとつの手です。
こういう細かい工夫の積み重ねが、ワンランク上の模型を作る礎になるのですから。



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