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上手い人のカーモデルからは、単に塗装が美しいだけでなく、どこか研ぎ澄まされたような清潔感を感じますが、その原因のひとつに窓などのクリアパーツに研ぎ出しを行っていることがあげられます。
現在の模型のクリアパーツの品質はそのままでも十分にキレイですが、実車部品に比べて分厚く作られている上に、射出成型の都合上どうしてもヒケが発生しますので、クリアパーツごしに見る内装は微妙に屈折してしまいます。これを研ぎ出すことによって、より透明感あるワンランク上の窓ガラスにすることが出来ます。
さらに研ぎ出しはヒケを削り取るだけでなく、ウェルドラインを目立たなくしたり、うっかり付けてしまったキズを消す効果もあります。
手順

これはフジミ1/24カウンタックのフロントウィンドウパーツ。
最近の車ほど絞り込みを多用した立体的デザインではありませんので屈折度は大した事ありませんが、射出成型の質が悪くてウェルドラインが著しく目立ちます(左側に縦に入ってるキズのような線)。
これは樹脂の層ですので完全に消すことは出来ませんが、まず気付かない程度にまで目立たなくすることは可能です。

ちょっと勇気がいりますが、1200〜1500番程度の耐水ペーパーで表裏両面のサンディングを行います。
すると表面は案外ヒケてるのがわかりますので、真平らな面になるまで行います。パーツのヒケは特にふちに出やすい傾向があります。
うっかり付けたキズを消す場合は、そのキズが削り取れるまでサンディングを続けます。

次に2000番の耐水ペーパーで磨いて、コンパウンドがけの下地を作ります。力を入れすぎるとコンパウンドではとれない小さなキズが入りやすくなりますので、表面を慣らすように擦るのがコツ。
するとクリアパーツは左画像のように擦りガラス状態になりなります。
 コンパウンドをかけます。
最近はいろんなメーカーから液状やら粉状の優れたコンパウンドが出てますが、今回は一番手に入りやすくスタンダードなタミヤのチューブタイプのを使います。
まずは粗目用で研磨。
粗目コンパウンドがけは、表面に目立ったキズがなくなるまで続けます。
最終的にクリアパーツは薄く曇った程度にまで透明度が回復します。ウェルドラインはすでにわからなくなってますね。

次に細目コンパウンドで研磨。ここで透明度は一気に上がります。
この状態でもう充分のように見えますが、クリアパーツは普通のパーツに比べて細かい磨きキズが目立ちますので、さらにもう一手間かけます。

最後に仕上げ目コンパウンドで研磨。ご覧のようにしっとりした艶と抜群の透明度が出ます。ノーマルのパーツと明らかに違いますね。
この仕上げ目コンパウンド、価格が他の倍もするのですが、それに見合うだけの威力はありまして、特にクリアパーツへの効果は絶大です。
見よこの透明感!ヒケによる屈折もなくなり、まるでガラスのように澄んでいます。
実はパーツのヒケは表面より断面部分のほうがキツく、クリアパーツはそれが透けて見えてしまいますので、断面も研ぎ出しを行えば一層美しくなり完璧です。
しかしその場合、研磨によりパーツの寸法に若干の狂いが生じますので注意しなければなりません。作例はその分窓枠をわずかに太く改造して帳尻を合わせています。
以上手順を説明しておいてなんですが、このような技法はあえて行わなくても構わないものです。
というのは最初に書いたとおり、今のプラモデルのクリアパーツは品質がかなり良くなってますし、特に初心者の場合は上手い人の作例に憧れて真似したのはいいですが、こうした面倒な作業で挫折して製作を投げ出してしまうことがままあるからです。それでは本末転倒というもの。
素組みでカーモデルを上手く作れるようになって物足りなく感じたとき、次へのステップとして試みるのが良いかと思います。
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