|
ヘリコプター搭載護衛艦 DDH-181 ひゅうが 一般公開レポート |
2009年4月11日 神奈川県 海上自衛隊横須賀基地 写真・解説:Phantomさん |

クリックで拡大
今年3月海自に配備されたばかりの新鋭ヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが。
その初の一般公開が2009年4月11日(土)に海上自衛隊横須賀基地にて行われまして、見学者の数は公式発表によると約8250人だったそうです。ウチの古くからの常連さんであるPhantomさんも行って来られ、詳しくレポートしていただきました。
以下はPhantomさんによる解説です。
9時半からの受け付け開始の対し、私が現地に到着したのは50分頃でした。画像の手荷物検査の時刻は10時20分頃でしょうか。足取りも軽く桟橋へ向かいます。…この時、さらに2回も「並んで待ち」を経験する羽目になろうとは想像もしていなかったのです。
 |
|
 |
海上自衛隊横須賀基地 |
|
手荷物検査所 |
ひゅうが遠景・全景
桟橋への途中で撮影。(1枚目・2枚目)
流石に他の護衛艦(全てむらさめ型)と比べると存在感が桁違いです。この係留位置はいつもなら「きりしま」が舫っている場所です。
デッキ前端の黒い横断幕状のものには(少し前に話題になった有機ELという奴でしょうか?)「DDH-181ひゅうがへようこそ
★祝 一般公開」の文字が流れています。(3枚目)
艦首付近
米空母や旧日本海軍の「大鳳」の様なエンクローズドバウ。外側にハッチを跳ね上げた開口部の奥にはローラーが並んでいます。正方形の小開口部も全てハッチを内側に跳ね上げる形になっています。ステルス性への配慮でしょうか。その割には係船孔は開きっぱなしだったりしてます。
 |
|
 |
|
 |
艦首 斜め正面 |
|
ヘリ運用上、航空甲板には係船柱を設けれないので舷側にその設備がある。 |
|
艦首 後方より |
さて、ここで乗艦待ちで更に並ぶことになりました。そして待つことしばし、いよいよ乗艦となりました。
艦内通路・ハッチその他
乗艦後、通路を抜け、ラッタルを上がって通されたのが「多目的区画」というプレートが掲げられた部屋。これはそこの壁面に掲げられていた額です。ヘリを発艦させつつVLSからミサイルを放つ「ひゅうが」と、バックには先代の航空戦艦「日向」。雑誌「世界の艦船」で紹介されていた様な記憶があります。
さて、乗員の方の説明によると、この区画は各種OA機器の設置や通信回線の導設、人員の収容など文字通り多目的な使用を想定した区画で、災害時や海外派遣時の臨時指揮所や自治体の事務所としての機能を持たせることも可能との事。
 |
|
 |
|
 |
|
 |
「ひゅうが」と「日向」のパネル |
|
ハッチ。見学通路としては苦しい・・・ |
|
通路脇のヘルメット置き場 |
|
艦内通路 |
床のタイルカーペットのはスリット状の切れ込みがあり、事務機などの設置が可能な様です。また壁面には畳一畳分はありそうな液晶ディスプレイが数面設置されていますしかし、それらを撮影する余裕はありませんでした。人が多すぎて(笑)。
流石にこれだけのイベントで順路が一本きりというのはあんまりでしょう。まあコミケの例もある通り、こういった事は実際にやってみないとわからないことも多いので、ある程度仕方のない事ではあります。
そんなこんなをくぐり抜け、いよいよデッキへと向かいます。
デッキ
艦首より眺めたデッキの全景です。(上段一枚目) 狭い上に人いきれで空調も効かなかった艦内から脱出できて解放感もひとしおです。左手に立っているのは「いなづま」のマスト。右手側には米海軍のイージス艦群が見えます。
艦橋は従来の護衛艦と比べるとシンプルな印象の構造。マストは斜め後ろから見ると、なんとなく旧海軍の戦艦の前槽楼を連想させられます。
 |
|
 |
|
 |
|
 |
デッキ全景 |
|
艦橋正面 |
|
マスト 後方より |
|
艦橋左舷斜めから |
 |
|
 |
|
 |
艦橋から煙突を挟んで後ろにある航空管制室 |
|
遠方から艦上構造物全体 |
|
桟橋からあおり気味に |
艦橋の前方には機銃座が。(1枚目) チャフ発射基のスポンソンを上から見るとこんな感じです。(2枚目) 私はデッキに出る際に艦橋側面のハッチを通りましたが、後になってこのスポンソンを通り抜ける形で新たな順路が設定されていました。
また、デッキの面積に余裕があるためか、従来の護衛艦では上構の横にある受給ポストがこんな風に突っ立ってます。(3枚目)
左舷側のアングルドデッキ状の張り出しの外側には、米空母などと同じ様にキャットウォークがあります。(4枚目)
 |
|
 |
|
 |
|
 |
機銃座(艦橋前方) |
|
チャフ発射基 |
|
受給ポスト |
|
キャットウォーク(舷外通路) |
艦首右舷側には近距離防御用の機関砲ファランクスCIWSが設置されています。(1枚目) 対水上戦闘能力を付加されたBiock1Bというタイプの様です。
艦首前端の機銃座です。(2枚目) こちらには機銃が装着されています。銃口が左舷側を指向しているので、画像だけ見ると舷側寄りの何処かに設置してあるかの様に見えます。
右舷艦尾付近に設置されているミサイル垂直発射装置Mk−41VLS。(3枚目) 存在がさり気無さ過ぎてほぼスルーされてました(笑)。その向こうには機銃座が。
 |
|
 |
|
 |
CIWS Block1B |
|
艦首側の機銃座。12.7mm機関銃付き |
|
Mk41 VLS |
デッキ上で展示されていたSH−60シーホーク哨戒ヘリ。(1枚目) これをエレベーターに乗せて昇降させるデモとかやったら面白いと思うんですけど…。
遠景写真では分かりにくいですが、デッキの表面処理はこんな感じです。(2枚目左画像) 対比物としてレンズキャップを置いてみました(直径6センチ弱)。
凄まじく強烈な縮緬状の処理がなされています。想像するに、幅広のローラー状の道具で施工したのではないかと思うのですが…。歩き回った感触としては、陸上のトラックに敷き詰めてあるアンツーカーのそれが近い様な気がします。
デッキ上一面に設けられている繋止環にはカバーが取り付けられていました。これが常時使用されているのか、今回の様に見学者が立ち入る場合にのみ取り付けるのかは不明ですが、うっかりふんづけるとパカパカと華奢な音を立てるので、変に気を遣いました。見学者誘導用の支柱はこの様に、繋止環に差し込んだ後で半回転させ、その後底部のネジでテンションを加えて固定する形式。(2枚目右画像)
着艦標識部分には塗装と合わせて表示灯がデッキに埋め込まれています。繋留環の規則性に割り込む形で設置されている様に見えます。(3枚目)
 |
|
 |
|
 |
SH−60Jシーホーク哨戒ヘリ |
|
デッキ表面&支柱 |
|
着艦標識付近 |
エレベーター
エレベーター開口部の区画は真っ黒に塗装されています。壁面にはエレベータのロック用と思われる機器が何組か取り付けられています。
艦首側から見た、エレベーターが上昇してくる様子。意外なほど高速で上がって来ます。「その3」の画像では一見デッキと面一になっている様に見えますが、上昇してきたエレベーターは一瞬デッキ面より10センチ弱せり上がってからデッキと同一レベルに収まります。開口部のデッキ側には、繋止環に設置されている物よりやや太めのポールが並んでいますが、これらはエレベータが停止すると自動的にデッキに引き込まれます。
上昇時と同じ様に、エレベーターは一旦デッキからせり上がってから降下に入ります。これはエレベーターの固定とデッキの水密の為ではないかと推測します。
 |
|
 |
|
 |
エレベーター上昇 その1
|
|
エレベーター上昇 その2
|
|
エレベーター上昇 その3 |
このころになると順路が大幅に見直されていて、乗艦するとまず格納庫内に通され、そこからエレベーターでデッキにピストン輸送する経路も設定されていました。(当初はエレベーターはデッキ→格納庫の一方通行だった様です)
第2エレベーター(3枚目)は艦尾寄りにあり、左手にあるウインチがエレベーターを上下させます。区画の前後にあるポールはデッキにあるものと同じ自動引き込み式です。
 |
|
 |
|
 |
エレベーター 格納庫内より 1 |
|
エレベーター 格納庫内より 2 |
|
第2エレベーター(上がってる状態で裏側の格子状の梁が確認できる。) 奥の明るいエリアはヘリ整備場 |
格納庫
格納庫内は天井が高く、搭載機も置かれていなかったため広々とした印象です。
格納庫内の中央部付近の天井には、格納庫を前後に分断する形で防火スクリーンらしいものが引き込まれています。(3枚目) 画像の左手側が艦首寄りとなっています。スクリーンより艦首側は両舷にキャットウォークがありますが、艦尾側は左舷側のみとなっています。
 |
|
 |
|
 |
格納庫 1 |
|
格納庫 2 |
|
普段は格納庫を2つに仕切る防火スクリーン |
ひゅうが ディテール
さて、ここからはひゅうがの気になったディテールを載せたいと思います。
- 艦橋壁面(1枚目)
びっくりさせられたのがこの艦橋壁面のディテールです。ブロック同士の接合部にでもあたるのか、1cmはあろうかと言う線状の突出があります。
- ガスタービン吸気口、放射能塵洗滌ノズル(2枚目)
右舷側にはこの様にガスタービンエンジンの吸気口が開口していますが、ここからの飛沫の吸入を嫌ってか、その上部の洗滌ノズルは真後ろに向いています。その代り、吸気口の下部にはこれでもかとノズルが並んでいます。
- ボートコンテナ(3枚目)
かなり奇異に映ったのがこのボートコンテナ外側の楯状のプレート。やっぱりステルス対策なんでしょうか。
 |
|
 |
|
 |
艦橋壁面 |
|
ガスタービン吸気口&放射能塵洗滌ノズル |
|
ボートコンテナ |
- 船体中央部表面、ムアリングホール(1枚目)
昨今では護衛艦の表面を表現した模型が増えていますが、やはり実物を間近で見ると色々と考えさせられます。ひゅうがの場合、先述のガスタービン吸気口や乗降口などの大きな開口部付近の外板は周囲より厚くなっています。溶接のビードの処理が意外にも荒っぽい印象です。
- 舷側後部、短魚雷発射管(2枚目・3枚目)
喫水線付近の外板もやや厚くなっているようです。ところで、この魚雷発射管を見て「赤城」の20cm砲を思い出すのは私だけでしょうか。
 |
|
 |
|
 |
船体中央部表面&ムアリングホール |
|
舷側後部 |
|
短魚雷発射管 |
湾内停泊中の他艦艇
ひゅうがのデッキ左舷側には横須賀港の米軍区域が広がっていて、アーレイ・バーク級駆逐艦やタイコンデロガ級巡洋艦の奥に空母ジョージ・ワシントンの姿が。(1枚目) ただ、あまりの巨大さに背景の一部と化していて、周囲の見学者の中には指されてもなかなか認識できないという人も。
同じ桟橋の反対側には「いなづま」(2枚目)、海面をはさんで隣の桟橋には「むらさめ」とその同型艦(艦名不詳でした)。いちばん奥には先日退役した「しらせ」が居ます。(3枚目)
 |
|
 |
|
 |
|
 |
となりの区域に停泊してる米海軍艦艇 |
|
DD-105 いなづま |
|
むらさめ型2隻と旧しらせ |
|
あまつかぜのプロペラ(スクリュー) |
さて、長々とやってきたレポートもようやく終わりです。最後に、ゲート付近に展示されていた「あまつかぜ」のペラ(4枚目)で〆とさせていただきます。
以上、Phantomさんからの見学レポートでした。
(2009/05/04)
●DDH-181 ひゅうが 諸元
排水量 |
18,000t (満載時) |
全長/幅 |
197m/ 33m |
主機 |
IHILM2500ガスタービン 4基 |
速力 |
30kt (100,000馬力) |
乗員 |
約340〜360名 |
兵装 |
Mk41 VLS 16セル / Mk15ファランクスCIWS x 2 / HOS-303 3連装短魚雷発射管
x 2基(6門) 12.7mm機銃 数挺 |
搭載機 |
定数:SH-60K哨戒ヘリ 3機 、MCH-101掃海・輸送ヘリ 1機 / 最大11機 |
所属 / 定係港 |
第1護衛隊群第1護衛隊 / 横須賀 |
DDH-181 ひゅうが 関連の書籍
《横須賀周辺のホテル・旅館など宿泊先一覧》
- JTB国内旅行での検索結果(
横須賀)
- Yahoo!トラベルでの検索結果(
横須賀)
- 楽天トラベルでの検索結果 (横須賀・三浦)
|